2021 Fiscal Year Research-status Report
線形表現の高次元変形による本質的曲面の分布と複雑さの研究
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18KK0380
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北山 貴裕 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (10700057)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 3次元多様体 / 位相不変量 / 表現 / 交叉形式 |
Outline of Annual Research Achievements |
高次元線形表現の空間の幾何学を低次元トポロジーに応用する研究の展開と育成を図ることを目的として、基本群の線形表現の空間とその上の関数を与えるトーション不変量の情報から、3次元多様体を本質的に分解する部分曲面の分布の様子と複雑さを究明することに取り組んだ。当該年度は、基本群の表現に付随する位相不変量の新しい応用として、特に、Blanchfield形式を用いた結び目の4次元種数の評価を追究した。 結び目の位相的整4次元種数は、結び目を境界に持ち、補空間の基本群が無限巡回群であるような、4次元球体に局所平坦に埋め込まれた曲面の最小種数である。FellerとLewarkは、結び目の位相的整4次元種数の2倍が、変数tに1を代入して得られる行列の符号が0であるような、Blanchfield 形式の表現行列の最小サイズに等しいことを示した。Stefan Friedl氏とMark Powell氏との共同研究において、我々は、FreedmanとQuinnの球面埋め込み定理を用いて、FellerとLewarkの定理のより直接的な別証明を与えた。 また、Thurston normの研究に関するサーベイ論文を執筆した。3次元多様体のThurston normの基本性質についてまとめ、論文の主要部においては、Thurston normと様々な位相不変量との関係について説明した。関連話題についての幾つかの予想や問題も挙げた。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、出張を伴う研究活動が大きく制限された。そのため、今年度は、共同研究者であるStefan Friedl氏が所属するドイツのレーゲンスブルク大学を訪問することはできなかったが、オンラインで研究連絡を行うことにより国際共同研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オンラインでの研究連絡によって、新たな展開として、ねじれ交叉形式及びねじれBlanchfield形式に着目した、基本群の表現に付随する不変量の4次元トポロジーへの応用研究が進んでいる。 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、出張を伴う研究活動が大きく制限されたため、補助事業期間の延長を行った。ドイツのレーゲンスブルク大学へ再渡航することができなかったことで、本共同研究の進展に支障が出ている。また、Stefan Friedl氏と共同開催を計画していた国際研究集会を中止せざるを得ない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間の延長を行ったことで、次年度に再びドイツのレーゲンスブルク大学に研究滞在し、共同研究者であるStefan Friedl氏を含む研究グループと本共同研究を進める予定である。帰国後も当グループとオンラインでの研究連絡を継続する。また、本研究のテーマに基づいた(オンライン)セミナーを企画し、研究領域の育成・発展を図る。これまでに得られた成果を講演等により積極的に発信することを心掛け、研究を更に深める。
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