2019 Fiscal Year Research-status Report
Control of magnetic properties by "hot-spot" electric field generated by localized-surface plasmon resonance
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18KK0407
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
安川 雪子 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (10458995)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 電気電子材料 / 磁性薄膜 / 磁気光学効果 / プラズモン効果 / 貴金属ナノ粒子 / ホットスポット電場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究の基課題から得られたこれまでの主要成果は以下の4点である。(1) 作製した磁気プラズモニック物質(磁性薄膜と貴金属ナノ粒子を基盤とする物質)はナノ磁気構造を有する。(2) 貴金属ナノ粒子の自己組織化構造から励起される局在表面プラズモン共鳴の励起状態を評価した。その結果、ナノ粒子の形状・粒径・粒子間距離によって局在表面プラズモン共鳴の励起状態が異なる。(3) 貴金属の形状により、磁気プラズモニック物質の磁気光学効果(以下「MOKE」とする)やMOKEに由来する回転角(以下「Kerr回転角」とする)は多大な影響を受ける。(4) 磁性薄膜の膜厚が10 nm 以下の磁気プラズモニック物質では、物質に照射する光の波長が800~850 nm の領域において、単層の磁性薄膜と比較してKerr回転角が約2倍増大した。一方、基課題ではKerr回転角の増大メカニズムにおいて重要だと思われるホットスポット電場とMOKEとの相互作用を解明できておらず、これが基課題の壁となった。 そこで本国際共同研究では以下の4点を中心に取り組む。(1) 貴金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴から励起されるホットスポット電場(均一で増強された電場)をイメージング(可視化)し、ホットスポット電場の分布状態を解明する。(2) ホットスポット電場強度を定量評価する。(3) 基課題では磁気プラズモニック物質全体のMOKEや磁気物性を評価してきたが、磁気プラズモニック物質はナノ磁気構造を有する。またホットスポット電場は各ナノ粒子近傍で励起される。従ってナノスポット領域でのMOKEや磁気物性の評価を試みる。(4) ホットスポット電場と磁気プラズモニック物質のMOKEの相互作用およびそのメカニズムを解明する。 以上より、磁気プラズモニック物質をMOKE型磁気センサの基盤材料に展開するための基礎的研究を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本国際共同研究の交付申請を提出したのが2020年2月14日のため、2019年度の実質的な成果はない。また2020年4月1日より共同研究機関先に渡航予定であったがCOVID-19による入国禁止措置により現在渡航を延期中である。しかし渡航後に共同研究先で計測する磁気プラズモニック物質試料を現在系統的に作製しており、研究の進捗に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
日本で磁気プラズモニック物質を作製し、作製した物質中の貴金属ナノ粒子近傍で生じるホットスポット電場を、共同研究機関先が現有する分光システム系装置を用いてイメージング画像として可視化することを予定している。すなわちホットスポット電場の直接観察を第1段階の目的とする。次いでホットスポット電場の空間的な分布状態について、実験と計算の両面から評価する。その後ホットスポットの電場強度の定量的な議論に取り組む。以上により、磁気プラズモニック物質が含有する貴金属ナノ粒子近傍の電場増強の定量的解明を目指す。 さらに渡航先共同研究機関が現有する実験装置を用いて、作製した磁気プラズモニック物質のナノ領域でのMOKEの測定、またナノ微小領域の磁気物性も測定し、ホットスポット電場との相互作用について検討する予定である。 今後COVID-19による入国禁止措置が緩和され次第渡航し、共同研究を開始する。
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