2020 Fiscal Year Research-status Report
Control of magnetic properties by "hot-spot" electric field generated by localized-surface plasmon resonance
Project/Area Number |
18KK0407
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
安川 雪子 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (10458995)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 電気電子材料 / 磁性薄膜 / 磁気光学効果 / プラズモン効果 / 貴金属ナノ粒子 / ホットスポット電場 |
Outline of Annual Research Achievements |
本国際共同研究では、基課題から得られた成果を基に2020年度は以下を中核に研究を実施した。(1)研究対象である「磁気プラズモニック物質」の磁気物性を、強磁性共鳴の実験から評価した。(2) 貴金属ナノ粒子の局在表面プラズモン共鳴(以下「LSPR」)から励起される均一な増強電場「ホットスポット」の発現状態を実験的に検証するための綿密な研究準備を行った。 (1)については、申請者が研究対象としている磁気プラズモニック物質の磁性薄膜中の希土類元素含有量によって強磁性共鳴現象が強く影響を受けることを明らかとした。すなわち希土類元素の組成により、垂直磁気異方性から面内磁気異方性へと磁気異方性が変化した。また磁気プラズモニック物質の積層構造の差異によって内部エネルギー、すなわち磁気的なカップリングの強弱が大幅に変化することも実験的に明らかにした。 また(2)に関しては、磁気プラズモニック物質を構成する貴金属ナノ粒子の直径が僅か20 nm程度、ナノ粒子同士のギャップ間距離が5 nm程度であることから、実験によりホットスポットを検出すること自体が非常に困難な課題であると明らかとなった。従ってどのような実験手法によりホットスポットを評価するかを決定すること自体、非常に困難であった。しかし2020年度は光学を専門とする渡航先研究機関の研究者らと何度も議論を繰り返し、ホットスポットの実験的な検証方法の計画を綿密に立てることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年4月1日より共同研究機関先に渡航予定であったが、台湾側のCOVID-19による外国人入国禁止措置により渡航開始が遅延した。しかし2020年9月22日から12月22日まで3ヶ月間、および2021年2月23日から3ヶ月間の予定で台湾に渡航し、共同研究先で研究活動を実施した。 2020年度は申請者の研究室(日本)で作製した磁気プラズモニック物質を台湾の共同研究先で申請者が物性評価する研究体制とした。2020年度は磁気プラズモニック物質の磁気異方性およびその他の磁気的な物性を明らかにするため、共同研究先で強磁性共鳴の実験を主体に実施した。また磁気プラズモニック物質のホットスポットをどのような実験手法によって評価するか、共同研究機関の光学を専門とする研究者らと議論を重ね、ホットスポットの評価方法について具体的な実験計画を立案した。 従って研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は本研究で対象とする磁気プラズモニック物質の貴金属ナノ粒子の電子顕微鏡像に統計処理を施すことにより、貴金属ナノ粒子の平均直径、平均粒子間ギャップを定量的に明らかにした。この結果からホットスポット発生の可能性が強く示唆されたため、2021年度は表面分光評価法によってホットスポットの発生について検証する。表面分光測定によりホットスポットの発現状態だけではなく、物質内でのホットスポットの分布状態や強度についても検証する。 以上の実験的検証を基に、ホットスポットと磁気プラズモニック物質の磁気的な物性の相互作用の解明を目指す。
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