2019 Fiscal Year Research-status Report
新奇カルシウムイオンチャネルによる孔辺細胞の環境情報統合機構の解明
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18KK0425
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宗正 晋太郎 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (20641442)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 気孔 / 孔辺細胞 / カルシウム / イオンチャネル / 環境ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
気孔の開閉運動を調節する孔辺細胞シグナル伝達において、孔辺細胞細胞質カルシウムイオンがセカンドメッセンジャーとして機能している。本研究では、この孔辺細胞シグナル伝達においてカルシウムイオンの輸送に関与すると考えられる2種の候補遺伝子の機能解析を行っている。葉の重量測定実験により、候補遺伝子の一つ、GCC2の遺伝子破壊変異体では乾燥ストレス耐性の低下がみられている。そのため、乾燥ストレスに関わる植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)の応答を気孔開度測定と蒸散測定によって調査した。蒸散測定は国際共同研究として行った。明確な表現型を得るために多重変異体を作成して実験に用いた。その結果、GCC2ではABA誘導気孔閉口は野生株と同様に起こるが、気孔が恒常的に大きく開いており、これが乾燥ストレス耐性低下の原因であることが示唆された。さらに、孔辺細胞プロトプラストを用いてin-gel kinase assayを行った結果、GCC2遺伝子破壊変異体では野生株と同様にOST1の活性化が観察された。以上の結果から、GCC2は孔辺細胞におけるABAシグナル伝達の主要因子ではないが、過度の気孔開度を抑制する働きを持つことが示唆された。さらにBiFC法を用いたタンパク質相互作用解析の結果、GCC2はCO2応答にかかわる因子との相互作用することがわかった。そのため現在、国際共同研究として蒸散測定を行い、CO2を含む刺激に対するGCC2変異体の気孔応答を詳細に解析している。さらに蒸散測定と同様に無傷の葉を用いることのできるイオンチャネル活性評価系の構築を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の国際共同研究によって、無傷の葉を用いて気孔の表現型を評価することのできる最新の実験手法を導入することができた。また表現型がより明確な多重変異体を単離することができたため、今後の解析が容易になった。
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Strategy for Future Research Activity |
HEK293細胞とアフリカツメガエル卵母細胞を用いてGCCのイオンチャネル活性のin vitroで評価する。また、無傷の葉に適用可能な電気生理学実験系を構築し、GCCのイオンチャネル活性をin vivoで評価する。国際共同研究により蒸散測定を行い、CO2を含む様々な環境刺激に対する気孔応答の解析を進める。
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