2021 Fiscal Year Research-status Report
International collaboration in challenging field application of microbial induced carbonate precipitation (MICP)
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18KK0427
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 晶子 九州大学, 農学研究院, 助教 (10631286)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | 地盤改良 / 微生物代謝機能 / バイオグラウト / 海岸浸食 / バイオミネラリゼーション / 炭酸カルシウム / 固化 / 砂 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海岸浸食の対策技術として、微生物代謝機能を通して得られる生物化学的反応を用いた砂の固化技術の実地盤への適用を目指し、提案する固化プロセスの改良と、本手法による浸食対策としての地盤改良効果の評価を目的とする。自然海岸の整備は、生態系保護などの環境保全や景観維持の観点から施工方法に制約が多いのが現状であり、より環境負荷の低い地盤改良技術の開発を目指すという点においても本研究の意義がある。 当初計画では、ベトナムハノイの沿岸域を研究対象とし、現地の実験フィールドにおいて沿岸砂の固化実験を計画していたが、2020年度以降の新型コロナウイルス感染拡大により実行が困難となった。そこで、フィールドを国内に移すこととし、国内研究協力者の協力の下、海岸浸食を課題とする国内の自然海岸の沿岸域を新たに研究対象として選定することができた。 また、2019年度の米国滞在中に得た、現場実証実験などの北米の研究事例の研究結果から学び、本研究の提案する固化プロセスの課題点を再考し、固化物質生成プロセスの改良を目指した基礎研究を昨年度から引き続き取り組んだ。本研究を通して得られた新たな知見は、2021年7月4-8日に開催された国際学会(Goldschmidt2021 Virtual)において口頭発表した。 昨年度から継続して実施した微生物代謝による固化物質の生成反応を検証する室内実験では、砂の種類に加え、土粒子の表面改質、補助材料の添加によって微生物代謝速度や固化物質生成の違いが明確に表れた。これらについて、それぞれの要因を詳細に検討することにより、固化物質の生成により有効な手法の提案が可能になる。本手法においてより高い固化効果を得るためには、固化物質が生成する土粒子の表面環境において、微生物や固化物質の沈殿生成に有利な環境を誘引することが必要であり、来年度以降の検討事項とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
国内研究協力者の協力の下、国内の新たな実験フィールドとして、海岸浸食を課題とする沿岸域を選定することができたが、今年度目標としていた、現場の沿岸砂を用いた微生物による固化実験には至らなかった。コロナ渦における行動制限や国内研究協力者との調整の遅延が主な原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定したベトナムでの現地実験が困難になったことから、実験フィールドを国内に移し、海岸浸食を課題とする国内の自然海岸の沿岸域を新たに研究対象として選定する。国内研究協力者と地元自治体の協力の下、現場で沿岸砂を採取し、研究材料として用いる。 今年度に引き続き、固化物質の生成プロセスの改良を目指し基礎研究を継続する。今年度の研究結果から、補助物質の添加による固化物質析出の促進効果が示唆されたことから、その効果を検証する追加の実験を実施し、微生物固化プロセスの改良を目指す。また、改良した固化プロセスを適用して、砂地盤模型での固化実験を行い、施工による砂の固化と耐浸食性の向上について、物理化学分析や力学試験等を通して総合的に評価する。
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Research Products
(2 results)