2021 Fiscal Year Annual Research Report
Hotspots of biological production created by submarine groundwater discharge
Project/Area Number |
18KK0428
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
杉本 亮 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (00533316)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | 海底湧水 / 一次生産 / ラジウム / ラドン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、若狭湾の枝湾の一つである宮津湾奥部に位置するトリガイ養殖筏の一つを調査サイトとし、2021年6月から12月にかけて、2日連続の調査を毎月実施してた。調査では多層採水(表層・3m・6m・9m・底上30cm)とCTDを用いた鉛直的な水質計測(水温・塩分・酸素濃度)を行っている。採水した試水を用いて植物プランクトン現存量指標であるクロロフィルa濃度、栄養塩濃度、放射性物質濃度(222Rn・224Ra)を分析している。さらに、各層の植物プランクトンの一次生産速度を測定するために、明瓶と暗瓶を用いた24時間の現場培養実験も実施し、植物プランクトンの純一次生産量(NPP)と総一次生産量(GPP)も評価している。その結果、観測期間を通して底層付近で地下水中に多く含まれる222Rn・224Ra濃度が高く、栄養塩濃度(特にリン酸イオン)の濃度も高い傾向にあり、海底湧水の影響が安定して生じていることが確認された。特に、成層期には海底から最大7m付近(水深5m付近)にまで海底湧水の影響が及んでた。一次生産の現存量指標であるクロロフィルa濃度は2 mg/L以下と低かったものの、水柱あたりのGPP(夏季平均で3.9gC/m2/d)は他海域の二枚貝養殖場と比較しても高く、成層期においてはGPPの17-59%が海底湧水の影響が顕著な水深帯でのものであった。 また、これまでに実施した海底湧水と一次生産に関する研究成果のデータ解析およびコンパイル作業も並行して行っている。特に、共同研究者のSantos教授と2018年2月の記録的豪雪時に若狭湾の枝湾の小浜湾で実施した調査のデータ解析が終了した。その結果、海底湧水による炭素と栄養塩類のフラックスが、陸域からのこれらの全フラックスのおよそ75%を占めていることが明らかになるとともに、一次生産過程へのポジティブな影響も認められた。
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