2019 Fiscal Year Research-status Report
ヒト膵β細胞における2型糖尿病感受性遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
18KK0438
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
淺原 俊一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00570342)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | 膵β細胞 / ヒト膵島 / 2型糖尿病感受性遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、ヒトで確認された2型糖尿病感受性遺伝子について、マウス膵β細胞株およびマウス個体を用いて検証した結果を、ヒトにフィードバックすることが目的である。 2019年度においては、2008年に報告されたEIF2AK4遺伝子の変異が膵β細胞不全を引き起こす機序について報告を行った(JCI Insight, 2020)。 EIF2AK4遺伝子はアミノ酸欠乏によって活性化されるGCN2と呼ばれるタンパクをコードしている。我々の検討では、EIF2AK4遺伝子にリスクアリルとなる変異をもつヒトではインスリン分泌が低下することが明らかとなっているが、これまでに糖尿病発症とGCN2の関連についての報告は確認されていない。我々はGCN2欠損マウスを独自に作製し、膵β細胞における解析を行った。その結果、高脂肪食を与えた時のみ膵島のGCN2は活性化するが、GCN2欠損マウスではGCN2による抑制が無くなり、膵島のmTORC1活性が過剰に亢進することが明らかとなった。膵島のmTORC1恒常的亢進が膵β細胞不全を引き起こし、糖尿病発症につながることも解明している。高脂肪食摂取時においては、膵β細胞におけるインスリン分泌・合成が亢進するため、それにより細胞内のアミノ酸濃度が減少し、GCN2が活性化されることも見出している。 ヒトにおいても同様の現象が起こっていることが考えられ、EIF2AK4遺伝子に変異があるヒトでは、肥満や過食が膵β細胞不全につながることが予想される。ヒトiPS細胞由来の膵β細胞やヒト膵島を用いて、今後検討していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ヒトiPS細胞を用いた分化誘導実験を行っているが、以前確立されていたインスリン陽性細胞への分化誘導が再現性をもって誘導できないようになっている。原因として、2019年度より担当研究者が交代したことなどが考えられるが、誰が行っても同様の結果が求められることから、再度実験条件を練っているところである。 また、Columbia大学においてヒト膵島を用いた実験を2020年度より開始する予定であり、その為の予備実験を繰り返していたが、今回の新型コロナウィルス感染拡大に伴って渡航が無期延期となってしまっている。今後、渡航ができる目処がたっておらず、研究計画全体に影響を及ぼすことが懸念される。
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Strategy for Future Research Activity |
現在研究活動が制限されているが、研究活動が再開した際には、担当研究者をiPS細胞研究室に短期留学させることで我々の研究室における分化誘導プロトコールを再度確立することが必須である。 またColumbia大学への渡航は当分不透明であることから、ヒト膵島を用いた研究に関しては変更も考慮する必要がある。現在、Columbia大学以外の施設からヒト膵島を入手することが可能か問い合わせ中であり、今後、共同研究などが可能か検討する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] GCN2 regulates pancreatic β-cell mass by sensing intracellular amino acid levels.2020
Author(s)
Kanno A, Asahara SI, Furubayashi A, Masuda K, Yoshitomi R, Suzuki E, Takai T, Kimura-Koyanagi M, Matsuda T, Bartolome A, Hirota Y, Yokoi N, Inaba Y, Inoue H, Matsumoto M, Inoue K, Abe T, Wei FY, Tomizawa K, Ogawa W, Seino S, Kasuga M, Kido Y.
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Journal Title
JCI Insight.
Volume: 5
Pages: e128820
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] En face slab optical coherence tomography imaging successfully monitors progressive degenerative changes in the innermost layer of the diabect retina.2020
Author(s)
Katsuyama A, Kusuhara S, Asahara SI, Nakai SI, Mori S, Matsumiya W, Miki A, Kurimoto T, Imai H, Kido Y, Ogawa W, Nakamura M.
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Journal Title
BMJ Open Diabetes Research & Care.
Volume: 8
Pages: e001120
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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