2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト膵β細胞における2型糖尿病感受性遺伝子の機能解析
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18KK0438
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
淺原 俊一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00570342)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | ヒト膵島 / 2型糖尿病感受性遺伝子 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究室では、これまで2型糖尿病患者における感受性遺伝子が膵β細胞に及ぼす影響を検討してきた。東アジア人で特に重要と言われるKCNQ1遺伝子が、p57と呼ばれる細胞周期調節因子を制御して膵β細胞量に影響していることを2015年に報告し(PNAS, 2015)、またEIF22AK4遺伝子は肥満や過食状態で膵β細胞において活性化されるGCN2タンパクをコードするが、GCN2が欠損した状態ではmTORC1が恒常的に亢進することで膵β細胞においてアポトーシスが誘導され、β細胞量は減少することを見出した(JCI Insight, 2020)。これらは2型糖尿病感受性遺伝子が膵β細胞不全を介して2型糖尿病発症を引き起こす機序を説明し、また2型糖尿病感受性遺伝子にSNPを有するヒトではインスリン分泌減少傾向を認めることにも一致している。 しかしながら、これまで示したデータは全て遺伝子組み換えマウスを用いた結果である。げっ歯類とヒトでは膵島における構造や遺伝子発現も大きく異なることが知られており、ヒトの2型糖尿病感受性遺伝子について検討するうえで、ヒト膵島を用いた実験は不可避である。我々はこれまでにヒトiPS細胞を用いて膵β細胞への分化誘導を試みている。現時点ではヒト内分泌細胞までの分化誘導しか達成していないが、その状態においてKCNQ1遺伝子の発現を制御するnon-coding RNAの発現量にSNPの有無が影響してる可能性を見出している。今後さらに検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初は2020年6月より米国ニューヨークのコロンビア大学に半年間滞在し、ヒト膵島を用いた研究を開始する予定であった。それが新型コロナウイルスによる影響で延期となり、1年間ヒト膵島を用いた検討はできていない。ヒトiPS細胞を用いた分化誘導実験も、コロナ禍による影響を受け、十分に進捗していないのが現状である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年6月より、1年間延期されていたコロンビア大学への渡航が決定したため、ヒト膵島を用いた実験に着手する予定である。ヒト膵島におけるSNP有無別の遺伝子発現調節を解明することが当面の目的であるが、これらはほぼ欧米人のヒト膵島を用いることになる。日本人2型糖尿病の発症機序を解明するためには、日本人の膵島を用いる必要性があることから、今後は国内においてもヒト膵島が使えるよう研究環境を整えていくことを考えている。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] GCN2 regulates pancreatic β cell mass by sensing intracellular amino acid levels2020
Author(s)
Kanno A, Asahara SI, Furubayashi A, Masuda K, Yoshitomi R, Suzuki E, Takai T, Kimura-Koyanagi M, Matsuda T, Bartolome A, Hirota Y, Yokoi N, Inaba Y, Inoue H, Matsumoto M, Inoue K, Abe T, Wei FY, Tomizawa K, Ogawa W, Seino S, Kasuga M, Kido Y.
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Journal Title
JCI Insight
Volume: 5
Pages: e128820
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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