2019 Fiscal Year Research-status Report
Regulatory mechanism for Pin1-Akt related factors in phospholipid dynamics of cellular membrane.
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18KK0445
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水津 太 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 准教授 (90431379)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | オートファジー / 生体膜動態 / Pin1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Pin1とAktは脳神経系細胞のオートファジー活性維持と細胞生存に必須な因子でありその破綻は、癌やアルツハイマー様の病態を示す。(Liou, Lu Nature 2003; Liu, Lu Nature 2014; Kondo, Lu Nature 2015)興味深いことにその病態は、細胞マイクロセンサーである細胞生一次繊毛の機能異常が原因とされる繊毛病(ciliopathy)の病態と酷似している。さらに、Pin1がclathrin依存的なエンドサイトーシスや一次繊毛形成を正の制御に関与する知見を得ていることから、Pin1やAktおよび、それら関連因子は、細胞膜リン脂質を介した細胞機能制御を司るシグナル伝達の重要な分子群であることが強く示唆される。しかしながら、それら関連因子群の同定や機能解析はまだされておらず、本知見が未熟段階であることもあり、その詳細は明らかになっていない。 本年度では、Pin1やAkt機能操作だけでは説明できない、Pin1-Akt関連因子による細胞膜動態の全貌を明らかにすることを目的とし、それら因子の同定を試みた。患者膵臓癌由来のPDAC2細胞に高く保持されているオートファジー活性は、組織での高い細胞増殖や浸潤能の獲得に重要であると考えられる。オートファジーに必須な生体膜の動態に関わる因子を探索したところ、エンドサイトーシスやリソソーム分解経路に関わるprotein Xを同定することに成功した。またprotein XにはPin1が結合可能なプロリン直接リン酸化サイトSer/Thr-Proが存在し、そのリン酸化サイト依存的なPin1を介したリソソーム分解活性制御機構の存在が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロリル異性化酵素Pin1が認識し得る基質の保存アミノ酸配列は、phospho-Serine/Threonine-Proline である。GST-Pin1プルダウンアッセイによるPin1結合因子の同定を行った結果、生体膜動態に関わる重要な因子として知られるprotein Xを同定した。また、Pin1遺伝子欠失細胞における生体膜動態解析により、Pin1が、初期エンドソーム、オートファゴソーム、後期エンドソーム、リソソーム形成などのあらゆる細胞内膜動態制御に関わっていることを突き止めた。その制御にprotein Xが関与している予備データも得ており、protein Xをリン酸化するキナーゼや脱リン酸化酵素と共にPin1を介した細胞内膜動態制御の仕組みの存在が強く示唆される。また、Pin1のタンパク発現量がリソソーム形成と同調することから、Pin1が直接リソソームでのタンパク分解制御に関わる可能性も示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
同定されたPin1結合因子protein Xの機能解析を行うため、protein Xのphospho-Serine/Threonine-Prolineサイトの変異体(非リン酸化型、疑似リン酸化型)を作成し、初期エンドソーム、オートファゴソーム、後期エンドソーム、リソソーム形成などの膜動態変化を観察する。また同時に、phospho-Serine/Threonine-Prolineサイトのリン酸化を担うキナーゼ同定を進める。さらに、Pin1が関与するリソソームでのタンパク分解制御において、Pin1結合因子の同定をsucrose勾配遠心によるリソソーム分画を用いて行う予定である。
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