2019 Fiscal Year Research-status Report
ウイルスを摂動とする病態発現原理のマルチオミクス解析とその包括的理解
Project/Area Number |
18KK0447
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 佳 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10593684)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | システムウイルス学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ウイルスおよびウイルス由来エレメントによる病態発現機構について、実験ウイルス学(ウェット研究)とマルチオミクスデータのバイオインフォマティクス解析(ドライ研究)のアプローチからの解明を目的とする、学際融合研究である。 計画1については、エイズウイルス感染動物モデルを用いたウイルス学実験(ウェット研究) を実施し、その検体のマルチオミクスデータを取得した。そして、得られたデータのマルチオミクス解析(ドライ研究)により、ウイルスの感染病態を規定するさまざまな細胞性因子の同定と制御ネットワークの描出に成功している。本年度は、この研究成果をまとめ、論文化を進めている(Aso et al., Cell Rep, under review)。 計画2については、計画1で得られたデータとがん患者臨床検体の大規模マルチオミクス解析(ドライ研究)により、内在性レトロウイルスに由来する遺伝子発現制御エレメントが、 細胞の抑制性転写因子ファミリーの発現を正に制御し、がんの形質を規定する遺伝子群の発現制御に関わる可能性を見出した。すなわち、ウイルスに由来するエレメントが、がんの形質・病態の制御に関与している可能性を示唆するデータを得た。さらに、公共データを用いた大規模メタゲノム解析(ドライ研究)により、内在性レトロウイルスが、ほ乳類の進化の過程において、ウイルス抵抗遺伝子であるAPOBEC3遺伝子ファミリーの進化を促進する推進力となっていることを明らかにし、論文化した(Ito, Gifford, Sato, PNAS, 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、新規の研究室員の配属や研究室の立ち上げ、また、大学業務の担当により、当初予定していた渡航を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は外国機関に渡航し、研究を推進する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、それも困難な状況にある。ウェブ会議などを通じ、共同研究を円滑に進行できるよう努める。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] N4BP1 restricts HIV-1 and its inactivation by MALT1 promotes viral reactivation2019
Author(s)
Daichi Yamasoba, Kei Sato, Takuya Ichinose, Tomoko Imamura, Lennart Koepke, Simone Joas, Elisabeth Reith, Dominik Hotter, Naoko Misawa, Kotaro Akaki, Takuya Uehata, Takashi Mino, Sho Miyamoto, Takeshi Noda, Akio Yamashita, Daron M. Standley, Frank Kirchhoff, Daniel Sauter, Yoshio Koyanagi & Osamu Takeuchi
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Journal Title
Nature Microbiology
Volume: 4
Pages: 1532-1544
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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