2019 Fiscal Year Research-status Report
GTP代謝センサーを介したビタミンK代謝制御機構の解明とがん治療への応用
Project/Area Number |
18KK0455
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣田 佳久 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70724277)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | GTP代謝センサー / PI5P4Kβ / がん治療 / ビタミンK / UBIAD1プロモーター / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンKは、血液凝固や骨形成に重要であり、凝血薬や骨粗鬆症治療薬に臨床応用されている。これらの薬理作用以外にもビタミンKは“抗腫瘍作用”と“がん再発予防作用”の2つの作用を有することが報告されているが、その詳細なメカニズムは明らかでない。これまでの研究過程において、ビタミンKを活性化型に変換する律速酵素UBIAD1が、GTPエネルギー代謝により制御されていることを見い出した。がんGTP研究の第一人者である米国シンシナティ大学のDr. Atsuo T. Sasakiと、ディスカッションを行った。驚くことに、Sasaki研究室で発見されたGTPセンサーPI5P4Kβの変異細胞において、UBIAD1の発現制御が変動していることがわかった。そこで、本国際共同研究では、「GTP代謝センサーを介したビタミンK代謝制御機構の解明とがん治療への応用」を目指し、新たながん治療や予防への貢献を志す。 現在までに申請者は、共同研究の一環でF205L変異体したがん細胞におけるビタミンK代謝関連酵素の遺伝子発現をCAGE-seq解析よりDr. Sasakiに評価頂き、F205L変異体では、UBIAD1遺伝子の発現量が経時的に著しく低下した。このような結果より、がんにおいてビタミンK代謝とGTP代謝センサーには何らかの関連があることが示唆された。また、PI5P4Kβの変異細胞にPI5P4Kβに対する阻害剤を用いてGTPエネルギーを変化させることで、UBIAD1発現制御機構への影響を評価している。また、UBIAD1のプロモーターに結合する転写因子群を、CRISPR/Cas9を利用したretroviral enChIP systemで同定を試みている。本年度は留学前であり、国内での検討を行った。2020年3月26日よりアメリカに渡航したため、次年度は研究をさらに推進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
渡航前に国内での検討を行うことが出来たため。また、COVID-19問題ででアメリカへの渡航が不安視される中、3月末に無事に渡航出来たことが非常に大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、PI5P4Kβの変異細胞にPI5P4Kβに対する阻害剤を用いてGTPエネルギーを変化させることで、UBIAD1発現制御機構への影響を評価している。また、UBIAD1のプロモーターに結合する転写因子群を、CRISPR/Cas9を利用したretroviral enChIP systemで同定する。ただし、現在COVID-19のため、シンシナティ大学が閉鎖されている。スーパーバイザーと日々遠隔での議論を行い、留学中の研究を少し変更する可能性がある。 留学先とのこれまでの共同研究内容を論文化することも同時に進める。
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