2020 Fiscal Year Research-status Report
GTP代謝センサーを介したビタミンK代謝制御機構の解明とがん治療への応用
Project/Area Number |
18KK0455
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣田 佳久 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70724277)
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Project Period (FY) |
2019 – 2021
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Keywords | GTP代謝センサー / PI5P4Kβ / がん治療 / ビタミンK / UBIAD1プロモーター / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンKは、血液凝固や骨形成に重要であり、凝血薬や骨粗鬆症治療薬に臨床応用されている。これらの薬理作用以外にもビタミンKは“抗腫瘍作用”と“がん再発予防作用”の2つの作用を有することが報告されているが、その詳細なメカニズムは明らかでない。これまでの研究過程において、ビタミンKを活性化型に変換する律速酵素UBIAD1が、GTPエネルギー代謝により制御されていることを見出した。がんGTP研究の第一人者である米国シンシナティ大学のDr. Atsuo T.Sasakiと、ディスカッションを行った。驚くことに、Sasaki研究室で発見されたGTPセンサーPI5P4Kβの変異細胞において、UBIAD1の発現制御が変動していることがわかった。そこで、本国際共同研究では、「GTP代謝センサーを介したビタミンK代謝制御機構の解明とがん治療への応用」を目指し、新たながん治療や予防への貢献を志す。 現在までに報告者は、共同研究の一環でF205L変異体したがん細胞におけるビタミンK代謝関連酵素の遺伝子発現をCAGE-seq解析よりDr. Sasakiに評価頂き、F205L変異体では、UBIAD1遺伝子の発現量が経時的に著しく低下した。このような結果より、がんにおいてビタミンK代謝とGTP代謝センサーには何らかの関連があることが示唆された。 報告者は2020年3月26日よりアメリカに渡航し、2021年3月27日に帰国した。留学初期は、アメリカ合衆国全土でコロナウイルスによるロックダウンのため6月初旬までは実験活動が大幅に規制された。6月以降は段階的に研究活動を開始することができた。本年度は、F205L変異マウスの樹立およびその表現型解析を行った。また、野生型マウスおよびPI5P4Kβノックアウトマウスを用いて、表現型の比較を行った。本年度は、アメリカで単離したサンプルを日本で解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
報告者は2020年3月26日よりアメリカに渡航し、2021年3月27日に帰国した。留学初期は、アメリカ合衆国全土でコロナウイルスによるロックダウンのため6月初旬までは実験活動が大幅に規制された。6月以降は段階的に研究活動を開始することができた。当初は大幅な実験の遅れを覚悟したが、F205L変異マウスの樹立およびその表現型解析を行い実験が一気に進んだ。野生型マウスおよびPI5P4Kβノックアウトマウスを用いて、表現型の比較を行った。実験開始当初は表現型があまり確認できなかったが、24時間の絶食を行うと強烈な表現型を得ることができ、今後の研究が大きく発展することが分かったため。また、シンシナティ大学で10報以上の論文に携わることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、F205L変異マウスと野生型マウスおよびPI5P4Kβノックアウトマウスを用いて、表現型解析を引き続き行う。また、24時間の絶食を行うと強烈な表現型を得ているため、このマウスの組織を日本に送って現在、日本の研究室で実験を行っている。本年度は、アメリカで単離したサンプルを様々な角度から日本で解析を行う。また、必要に応じて再渡航する。
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