2022 Fiscal Year Annual Research Report
GTP代謝センサーを介したビタミンK代謝制御機構の解明とがん治療への応用
Project/Area Number |
18KK0455
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣田 佳久 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (70724277)
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Project Period (FY) |
2019 – 2022
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Keywords | GTP代謝センサー / PI5P4Kβ / がん治療 / ゲノム編集 / プロテオミクス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンKは、血液凝固や骨形成に重要であり、凝血薬や骨粗鬆症治療薬に臨床応用されている。これらの薬理作用以外にもビタミンKは“抗腫瘍作用”と“がん再発予防作用”の2つの作用を有することが報告されているが、その詳細なメカニズムは明らかでない。これまでの研究過程において、ビタミンKを活性化型に変換する律速酵素UBIAD1が、GTPエネルギー代謝により制御されていることを見出した。がんGTP研究の第一人者である米国シンシナティ大学のDr. AtsuoT.Sasakiとディスカッションを行い驚くことに、Sasaki研究室で発見されたGTPセンサーPI5P4Kβの変異細胞において、UBIAD1の発現制御が変動していることがわかった。そこで、本国際共同研究では、「GTP代謝センサーを介したビタミンK代謝制御機構の解明とがん治療への応用」を目指し、新たながん治療や予防への貢献を志す。 現在までに報告者は、共同研究の一環でF205L変異体したがん細胞におけるビタミンK代謝関連酵素の遺伝子発現をCAGE-seq解析よりDr.Sasakiに評価頂き、F205L変異体では、UBIAD1遺伝子の発現量が経時的に著しく低下した。このような結果より、がんにおいてビタミンK代謝とGTP代謝センサーには何らかの関連があることが示唆された。 報告者は2020年3月26日よりアメリカに1年以上渡航した。留学中にゲノム編集法により作出したGTP感受性の欠損したF205L変異マウスの樹立およびその表現型解析を行った。表現型解析の結果、PI5P4Kβノックアウトマウスと異なる顕著な表現型を示した。特に肝臓に強い表現型が認められたため、シンシナティ小児病院との共同研究で肝臓の初代培養実験系を樹立し解析をおこなった。現在はメタボローム解析やトランスクリプトーム解析より表現型解析結果を分子レベルまで落とし込み研究を行っている。こののち、国内でビタミンKと本マウスとの関連を評価していく予定である。
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