2019 Fiscal Year Research-status Report
Identification of biomaker of vascular barrier dysruption
Project/Area Number |
18KT0023
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
村松 里衣子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 部長 (90536880)
|
Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
|
Keywords | 血液脳関門 / 神経細胞 / 運動機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
血液脳関門の破綻は種々の脳神経疾患で認められる現象であり、血管のバリア機能は脳神経細胞の機能に影響を及ぼすことが知られる。しかし血管のバリア機能が破綻するメカニズムについては充分解明されていない。本研究では指定難病である筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスにおいて症状発症に先立ち血管のバリア機能が障害されている点に着目し、同モデルマウスにおける血管バリア機能の障害メカニズムを検討する。 昨年度までの検討により、筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスにおいて、本マウスの神経症状の発症時にはすでに、病巣形成部位の血管内皮細胞において、タイトジャンクション関連タンパク質の発現量が低下していることを見出している。血管内皮細胞における遺伝子発現は環境要因により制御される機序が存在する。血管内皮細胞は血液や脳脊髄液に暴露されており、それらの組成は全身状態により変化する。そこで、筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスに含まれる血液や脳脊髄液が、血管のバリア機能を制御する可能性を考えた。マウスより採取した血清および脳脊髄液をそれぞれマウス脳血管内皮細胞培養系に暴露したところ、筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスの血清を暴露することで血管内皮細胞のバリア機能関連タンパク質の発現を低下させる作用があることがわかった。そこで血液中の何が血管内皮細胞のバリア機能を変化させるか検討するため、血液に含まれる分子の網羅的な解析を行い、筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスにおいて含有量が高い分子を3つ同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定よりも早く研究が進んだため。
|
Strategy for Future Research Activity |
筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスの血液に豊富に含まれる分子が血液脳関門のバリア機能の障害に関わるか、またその作用を抑制することで同マウスにおける組織学的な傷害や症状の発症・悪化を抑制することができるか検討する。候補となる分子の中和抗体あるいは候補分子の受容体阻害剤を、筋萎縮性側索硬化症モデルマウスに投与し、組織・行動解析を実施する。作用が得られた分子については、その発現様式を筋萎縮性側索硬化症モデルマウスで検討する。さらに、なぜ筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子の変異によりその分子の発現が高まるか、候補分子の遺伝子に結合する転写因子およびさらに筋萎縮性側索硬化症原因遺伝子の変異により発現変動する転写因子の共通点を見出すことでメカニズムの解明を行う。 マウスで結果で結果が得られ次第、患者検体を用いた解析を実施する。患者血液における候補分子の含有量をELISAで検出するとともに、患者由来の病変組織において候補分子の受容体の発現様式を検討し、同定したメカニズムが患者治療へ有望か、可能性を追求する。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大にともないその予防策として研究を自粛したため。
|
Research Products
(5 results)