2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of biomaker of vascular barrier dysruption
Project/Area Number |
18KT0023
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
村松 里衣子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 神経薬理研究部, 部長 (90536880)
|
Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
|
Keywords | 血液脳関門 / 神経細胞 / 運動機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までに、筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスおよびコントロールマウスの血液に含まれる分子を網羅的に解析し、筋萎縮性硬化症モデルマウスにおいて有意に含有量が豊富な分子を複数同定した。また、一部の分子については、筋萎縮性側索硬化症および同モデルマウスにおいてみられる血管のバリア機能の低下と関連する様子を観察した。本年度は当該分子が病態形成に寄与するか、マウスおよびヒトサンプルを用いた解析を行った。 マウスを用いた解析では、2種類の筋萎縮性側索硬化症モデルマウスを用いて、見出した分子の血中含有量が発症後の時間経過に伴い増加するか検討し、いずれにモデルマウスにおいても見出した分子が症状が悪化した段階でコントロールと比較し有意に豊富である結果を得た。また見出した分子が筋萎縮性側索硬化症患者血液においても多く含まれるか、患者由来検体を用いた解析を実施した。 病態形成との関連については、見出した分子に対する機能阻害抗体を作成し、同抗体を筋萎縮性側索硬化症モデルマウスに投与することで症状の悪化が阻まれるか検討した。症状発症前から中和抗体を投与し続けることにより、症状進行と密接なかかわりがある神経組織の変性が阻害された。また、同処置を施したマウスでは、筋機能の低下もはばかれたことから、作成した抗体が筋萎縮性側索硬化症にともなう組織・機能変化を抑制させる作用があることが示唆された。今後は、見出した分子がなぜ筋萎縮性側索硬化症において含有量が増えるか、筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子との分子間相互作用を解析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナウイルス感染拡大防止の影響により、予定していたすべての実験を実施することはできなかったが、行った実験により得られた結果は個体間の誤差も少なく、想定よりも少ない個体数で実験することができたため、結果自体は順調に得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
見出した、筋萎縮性側索硬化症マウスの症状を悪化させる分子が、なぜ発現が高まるか検討する。まず見出した分子の生体内での発現様式を解析し、豊富に発現する臓器を同定したのちに、その臓器内のどの細胞が分子の発現を担うものか検討する。続いて、筋萎縮性側索硬化症モデルマウスとコントロールマウスで、当該分子の発現量の変化を検討する。発現量に差がない場合は血中分泌量が変動すると予想し、当該分子の分泌のメカニズムに注目する。 筋萎縮性側索硬化症モデルにおいて当該分子の発現あるいは分泌が高まる機序については、その上流(転写因子)と下流(分解酵素)によるものと想定し、それらの発現変動についても解析を進める。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症による影響
|