2021 Fiscal Year Research-status Report
認知症患者間の共在性―オラリティによる認知症ケアの向上を目指して
Project/Area Number |
18KT0028
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石川 智子 (伊藤智子) 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70709683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田宮 菜奈子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20236748)
松本 吉央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (00314534)
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Project Period (FY) |
2019-03-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症ケア / 非言語的コミュニケーション / オラリティ / 共在性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「認知症患者間の共在性」をテーマとして、認知症患者同士ではたらくオラリティの観察に主眼を置いている。そのため、認知症高齢者ケアを専門とする施設での参加型観察が欠かせない方法であるが、2020年度より引き続いて2021年度もCOVID-19の影響により、感染対策上、研究目的として現場に立ち入ることが難しく、研究の進捗は遅れざるを得なかったが、研究対象者の家族(代諾者)より承諾を得て、3名の研究対象者について観察を行った。結果として、得られたデータはまだ十分ではないが、途中経過として、2点、仮説が考えられた。1点目は、当初からの仮説でもあるが、「話の間や顔の向きなどで、会話をしている、あるいは自分の話に同調していると認識している」ことである。2点目は、今回の対象者の様子から考えられたことで、「(認知症と言えど)それまでの人間関係のあり方を基にして、互いの関係性を認識している」ことである。この2点目は、対象者によってはっきりと言語化されたものではなく、対象者の普段の様子等からも考察されたものである。今後は、こうした仮説を検証しつつ、解釈の幅を広げていく予定である。一方、認知症ケアにおける非言語的コミュニケーション(狭義のオラリティのみなされる)について、Joanna Briggs Institute guideline と PRISMA Extension for Scoping Reviewsに基づき、スコーピングレビューを実施した。 2021年度は、その収集された文献の整理を行ったので、2022年度においてはレビュー論文として投稿する準備を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究では、「認知症患者間の共在性」をテーマとして、認知症患者同士ではたらくオラリティの観察に主眼を置いており、認知症高齢者ケアを専門とする施設での参加型観察が欠かせない方法である。しかしながら、今般のCOVID-19の影響により、感染対策上、研究目的による高齢者施設への立ち入りは極めて困難であった。またそうした状況から、入所者家族への研究についての説明が憚られ、対象のリクルートにおいても困難を極めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度については、ワクチン接種による感染対策上の進歩はあるものの、やはり慎重を期す状況であることが予想される。施設職員と協力して対象者を増やし、研究データを蓄積していく予定である。
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Causes of Carryover |
今般のCOVID-19の影響により、感染対策上、研究目的による高齢者施設への立ち入りは極めて困難であった。そのため、データ収集やデータ分析に必要な支出が滞り、次年度使用額が生じた。次年度においては、成果をまとめる年度であり、学会発表、論文発表に要する支出となる予定である。
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