2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Interpretation of Empirical Knowledge and Lore on the Superior Functions of Bamboo and Development of New Bamboo Forest Resource Utilization Technology
Project/Area Number |
18KT0037
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 太裕 北海道大学, 工学研究院, 教授 (00344482)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 昭夫 近畿大学, 農学部, 教授 (80304202)
吉川 琢也 北海道大学, 工学研究院, 助教 (20713267)
|
Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
|
Keywords | 竹 / バイオミメティクス / バイオマス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の祖先は遥か昔から、竹の優れた構造的性質を「経験的に」認識し、生活のさまざまな場面で利用してきた。また災害の多い我が国では「地震がきたら竹林に逃げ込め」など、竹にまつわる先人の智恵が込められた含蓄のある言い伝えも数多く存在する。このような竹の優れた機能に関する経験知や言い伝えは、果たして自然科学的に正しく実証されうるのであろうか?もしこれらに正しい理論的解釈を与えられるならば、昔から知られた竹の潜在能力に、現代の工学的・化学的技術を付加した新たな価値が生み出されるのではないかと考えた。 本研究ではまず、自然と共生する優れた構造・防災機能をもつ竹および竹林の性質として、これまで経験的に知られてきた事実や史実を科学的側面から紐解き、竹が私たちに教えてくれる「智恵」を理論的に実証する。さらにその知見の社会実装を念頭に、竹林資源の積極利用促進に向けた新概念材料の技術開発を目的として実施されるものである。 最終年度である2020年度は、これまでに本研究において理論実証してきた、竹の維管束配列が曲げ応力に対しても極めて合理的に配列されているという事実を実際のものづくりに生かすべく、積層構造にて竹の維管束配列を模擬した構造形態を新たにモデリングし、数値解析によりその有効性を示すことに成功した。また、断面が非円形である竹(シホウチク)の検証範囲を拡大し、「断面の形」という観点から新たな力学的合理性の検証を行い、断面がある程度の丸みを帯びつつ正多角形形状となる断面について、円形がもつ優位性を失うことなく強度向上に寄与する可能性を示した。さらに、共同研究者の吉川を中心に、竹からのセルロース単離と樹脂コンポジットへの利用を目指し、脱リグニン処理と樹脂含浸により、竹の質感を保った新材料開発を進展させた。
|