2019 Fiscal Year Research-status Report
歴史史料・考古資料活用による次世代作物資源の多様性構築に向けた学際的研究
Project/Area Number |
18KT0048
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
武田 和哉 大谷大学, 文学部, 教授 (90643081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 真司 京都大学, 文学研究科, 教授 (00212308)
矢野 健太郎 明治大学, 農学部, 専任教授 (00446543)
渡辺 正夫 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90240522)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | 次世代作物資源 / アブラナ科 / 歴史史料 / 遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東アジア食文化で重要な位置を占め、農書など歴史史料に記載が多いアブラナ科作物を研究材料とする。アブラナ科作物は全世界各地で栽培され、東アジアの米主食文化圏では中心的副食で、近年ではこれらの品種の保存を通じ、遺伝的多様性の重要度への認識が高まっている。 本研究では、公刊の歴史史料や地方文書等から、品種・栽培技術・栽培環境に関する情報を収集し、過去の品種の形態的特徴や栽培方法を人文学的側面から把握するのと、現品種にどの形質が受け継がれ、どの形質が選抜の過程で失われたかという問題や、現存品種間の交雑、遺伝解析、各作物が持つゲノムが環境、肥培管理から受ける要因を、比較ゲノム等の手法により、農学的・植物学的な理解を行い、最終的に文理融合による解釈から、アブラナ科作物品種の歴史的変化を踏まえた将来の農資源の在り方、多様性を理解することを目的としている。 2019年度は、これまでの研究班の活動内容、そして研究班に参加する各研究者の研究活動等の学術成果について、一般教養書としてとりまとめて公刊することができた。高度な学術書や専門論文としてではなく、一般教養書として公刊したのは、広く市民社会に我々の学術成果を還元するとともに認知してもらうためでもある。 さらに、各研究者においては各分担部分の研究を継続した。農学系分野では、各品種の試験栽培とその遺伝子解析を継続した。また人文系分野では、京都近辺の近世史料調査を継続し、いくつかの古文書を選定した上で、その内容釈読作業に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度前半に実施した学術成果図書の一般向け公刊、および各研究者レベルでの分担研究の継続実施については、概ね順調である。 ただし、本来の計画では2019年度後半に国内外の調査を行う予定であったが、折からの新型コロナウイルス蔓延という事態のために延期となった。また年度末に研究班関係者らが参加して本科研の成果共有と今後の活動方針や計画に関する議論等を行う研究会議も同様に延期となっているので、次年度以降の事態収束を見つつ、速やかに再開する予定にしている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、新型コロナウイルス蔓延の事態収束、さらには調査予定国・地域の社会情勢の安定を見定めつつ、順次予定していた調査活動を再開させたい。また、年度ごとに実施を計画している研究会議については、今後各研究者の所属機関における教育研究活動等が安定するのを見定めて、なるべく早期に実施して、研究成果の共有、および今後の対応、目標の再確認等の意思統一等を図る予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画の議論等に入念な時間をかけたことや、年度の後半に発生新型コロナウイルスの蔓延に起因した社会情勢の変化により、研究計画に遅延が生じたこと、さらには国内外での調査活動や年度ごとの研究会議がすべて中止とせざるを得なかったなったため、次年度使用額が生じている。 今後の使用計画としては、社会情勢を見極めつつ、政府・自治体から出されている各種の要請や研究者の所属機関による活動・移動等の制限等が解除されることを前提として、国内・海外での調査を実施する方向である。
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