2020 Fiscal Year Research-status Report
クラウドソース型地理情報のトラスト:網羅性と正確性,ダイバーシティに着目して
Project/Area Number |
18KT0049
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
西村 雄一郎 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (90390707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸 寿一 東京大学, 空間情報科学研究センター, 特任講師 (80454502)
金杉 洋 東京大学, 空間情報科学研究センター, 客員研究員 (00526907)
吉田 大介 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00555344)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | クラウドソース型地理情報 / GIS / 網羅性 / 正確性 / ダイバーシティ / コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,近年活発化しているクラウドソーシングと呼ばれる一般市民からの情報によって,インターネット上の地図を編集するプロジェクトに着目し,そのようなクラウドソース型地理情報のトラストに関して,多角的な視点による研究を行う. 研究実施計画に設定した5つの研究フェイズのうち、主に以下の3つを中心に研究を実施した. (2)日本におけるクラウドソース型地理情報の進展に関する研究(西村・瀬戸・金杉):東日本大震災以降の日本の状況における,クラウドソース型地理情報の進展ならびにその現状に関する,インタビュー調査・メールやソーシャルメディアなどを用いた調査,現地調査などを行った.クラウドソース型地理情報の参加者の数やそれらの参加者の作成する地理情報の正確性や網羅性の地理的差異を分析した. (3)日本におけるクラウドソース型地理情報の正確性や網羅性に関する分析(西村・瀬戸・吉田):クラウドソース型地理情報は、地理情報に関する専門的な知識や技能を必ずしも持っていない一般の市民によって作成されている.日本におけるクラウドソース型地理情報に対して,公的な組織が測量によって作成した地理情報や,商用の地理情報とその正確性や網羅性を比較した. (4)日本におけるクラウドソース型地理情報のダイバーシティに関する分析(西村・瀬戸・金杉):クラウドソース型地理情報の一つであるOpenStreetMapではユーザ自身が自由に編集できるというプロジェクトの性質を利用して,一般的な地図では整備が行われないような,障害者や民族・ジェンダー,セクシュアリティに関連するような多様なマイノリティが必要とする地理データを作成する活動が活発に行われている.公的な測量や一般の商用の地図データでは整備されないこれらのデータが,日本においてどのように収集・蓄積されているのかについて,データの分析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に設定した5つの研究フェイズのうち,とくに3つのフェイズに関わる研究を中心に研究を行い,国際的学術誌の査読付き論文を含む研究業績が出ていること,ならびに研究者間の綿密なディスカッション・共同調査・論文の共同執筆によって,日本におけるクラウドソース型地理情報の現状に関わる分析が進んでいることが挙げられる.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に設定した5つの研究フェイズのうち、3年目はこれまでに行った下記の(1)(2)(3)(4)に加えて、(5)についても研究を進める。. (1)クラウドソース型地理情報の理論的位置づけに関する研究(西村・瀬戸) (2)日本におけるクラウドソース型地理情報の進展に関する研究(西村・瀬戸・吉田) (3)クラウドソース型地理情報の正確性や網羅性に関する分析(西村・瀬戸・吉田・金杉). (4)日本におけるクラウドソース型地理情報のダイバーシティに関する分析(西村・瀬戸・金杉) (5)クラウドソース型地理情報の社会的意義に関する研究(全員):研究フェイズの(1)~(4)での分析を元にクラウドソース型地理情報の特徴やその社会的意義について議論を行う.また,そういった考察を進めながら,クラウドソース型地理情報の課題や日本における今後の導入・適用可能性について,国内外の研究者や実践を行う市民を参加者としたワークショップを開催するなど,その社会的意義に関する議論を行う.
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Causes of Carryover |
COVID-19の日本を含むグローバルな拡散によって、海外調査旅費や国内調査旅費の使用が大幅に制限されたことによって、次年度使用額が生じた、次年度については、学会発表などは引き続きオンラインが中心になることが予想されることから、COVID-19の拡散状況などを勘案しつつ、可能な限り国内調査を実施することを計画している。
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Research Products
(12 results)