2018 Fiscal Year Research-status Report
内戦原因の歴史的時間:前植民地期・植民地期の残滓と国家・国際社会の役割
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18KT0054
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 岳 広島大学, 国際協力研究科, 助教 (80773895)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | 武力紛争 / 空間データ / 地理情報システム(GIS) / 内戦 / 歴史的現象の長期的影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
植民地化以前の民族集団の居住分布や植民地化によるその分断,植民地の政治・経済制度的な残滓や独立後の政治体制は,国内平和をいかに,なぜ規定するのか。より一般的に,植民地化前・植民地期・植民地後の要因は内戦の生起をいかに,なぜ左右するのか。歴史的背景・文脈は,民主主義体制や介入・援助のような政治制度・政策的処方箋の有効性をいかに,なぜ規定するのか。また,その背後にはいかなる因果メカニズムが働くのか。本研究は,歴史地図・史料のデータ化と地理情報システム(GIS)を活用した計量分析を通して,こうした問いに回答する.
本研究は主に,(1)史料・歴史地図を用いたデータセットの構築,(2)内戦の歴史的・長期的原因の検証,および(3)歴史的要因と現代的要因の相互作用の検証の3つの作業に取り組む。研究初年度に当たる平成30年度は,アフリカにおける植民地の境界線・国境線画定による民族集団の分離が,独立後の内戦の蓋然性に与える影響とそのメカニズムに特に注目し,上記の(1)から(3)に沿った形で実証研究を進めた。これらの作業は概ね順調に進めることができ,GIS・空間データを活用したデータセットの構築だけでなく,因果推論の手法を用いた実証分析に取り組んだ。さらに,これらの作業から得た成果は,国内外の学会報告だけでなく,年度末には論文として国際誌に投稿することができた。
研究計画2年度目以降も,初年度の成果を発展させつつ,研究計画を推進する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り,研究計画の基盤となるデータセットの構築だけでなく,具体的な解析を初年度から順調に進めることができた。また,学会報告・論文投稿の形で成果をまとめることもできたことから,作業の進捗・成果の発信いずれの面でも,研究計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度は,概ね順調に研究計画が進展した。研究計画2年度目以降も,初年度に整備したデータセットを拡張しつつ分析と成果発信に取り組み,研究計画を推進する。
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Causes of Carryover |
所属研究機関の移動に伴い,出張旅費や大学の蔵書等に変更が生じたため,次年度使用額が生じた。この金額は,次年度の旅費や消耗品購入費用等にあてる。
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