2018 Fiscal Year Research-status Report
複雑ネットワーク理論に基づく人工物システムの頑健性評価と強化
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18KT0059
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長谷川 雄央 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (10528425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷澤 俊弘 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 教授 (60311106)
水高 将吾 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 日本学術振興会特別研究員(PD) (70771062)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | 複雑ネットワーク / ネットワーク科学 / パーコレーション / モンテカルロシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)本研究は、重み付きネットワークの頑強性を評価する理論の構築を課題の一つとしている。簡単化のため、通常の重みなしのネットワークを考え、頂点が確率的に故障状態になる場合、使用可能な(故障していない)ネットワークはどのような性質を有するのかを研究した。具体的には、故障のモデルとしてパーコレーション過程を用い、パーコレーション過程で形成される無限連結成分について、その生成の数理と構造的な性質を調べた。 ・水高と長谷川は一般的な次数分布に従うランダムネットワーク上のサイトパーコレーションで形成される無限連結成分の次数相関を母関数をもとに定式化した。無限連結成分が生成されるとき、元のネットワークの次数分布によらず(次数分布の異質性が強い場合を除けば)その次数相関係数は常に負であるという強い結果が得られた。その成果は日本物理学会等で発表され、Physical Review E誌に論文が出版された。 ・谷澤は次数相関を入れたネットワーク上のパーコレーション過程の相転移を扱った。次数相関構造によって引き起こされる特殊な相転移を数値的に検証し、先行研究の知見に新たな結果を加えた。その成果は日本物理学会およびネットワーク科学の国際会議にて発表された。 ・水高と長谷川は強い負次数相関を持つネットワーク上のパーコレーションの臨界特性を調べ、強い負次数相関構造が臨界特性を変えることを解析的に明らかにした。その結果は日本物理学会にて発表された。
(2)長谷川、水高、岩瀬は重み付きネットワークにおける「重要な辺で構成されたバックボーン」の構造を調べた。一般的な知見を得るべく、ランダムウォークモデルによって重みづけられたネットワークを用い、salienceと呼ばれる指標によって抽出されるバックボーンの構造と元のネットワーク構造との関係を系統的に調べた。その結果は学会・研究会にて発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重み付きネットワークの頑強性の研究を計画していたが、予備調査をすすめる中で新規の結果が得られたため、今年度はそちらの成果をまとめることに注力した。論文出版と学会発表は順調にできている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画にしたがって、重み付きネットワークの頑健性評価の研究に取りかかる。また、種々の攻撃に対して頑健な構造の探索について研究を始める。今年度得られた研究成果についても順次国際会議発表、論文発表を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初計画していた計算機購入を2019年度に延期したことと、予定していた国際会議への参加を見合わせた事情により、次年度使用額が生じた。2019年度使用分については、延期した計算機購入と学会・研究会での発表旅費に使用する予定である。
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Research Products
(15 results)