2018 Fiscal Year Research-status Report
New inflammatory disease concept based on the macro-regulatory system
Project/Area Number |
18KT0067
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 喜裕 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (10529192)
|
Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
|
Keywords | 臓器相関 / 胆管炎 / 腸炎 / 腸内細菌叢 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が開発した潰瘍性大腸炎類似大腸炎を発症する樹状細胞特異的TGFbR2ノックアウトマウスの肝臓、胆管組織の炎症を検討した。肝組織の病理像の検討によって本モデルにおいて硬化性胆管炎同様の肝内胆管の炎症が発生していることが明らかになった。肝外胆管の炎症は肝内胆管に比べ軽微であった。野生型にくらべこの腸炎マウスモデルの糞便中には腸内細菌科の細菌、とくに大腸菌が著明に増加していた。現在自律神経刺激の影響を検討するためにα7ニコチン作動性アセチルコリン受容体(A7nAChR)刺激薬の効果を検討した。大腸における炎症細胞浸潤、杯細胞減少を伴う上皮障害は受容体刺激によって減弱する傾向がみられた。腸内細菌科細菌数には著変を認めなかった。現在肝外および管内胆管周囲の炎症への影響を検討している。 原発性硬化性胆管炎モデルであるKRT19陽性細胞誘導性CDH1ノックアウトマウスモデルを用いて腸内細菌叢の改変による胆管病理像の検討をおこなった。抗生物質であるメトロニダゾールとネオマイシンを飲水中に混入しタモキシフェン投与による遺伝子変異を誘導したのち、細菌叢の変化と胆管病理像を検討した。抗生物質投与により嫌気性菌、好気性菌ともに約1/1000に菌量が減少した。タモキシフェン投与後では胆管周囲の炎症細胞浸潤は抗生物質投与により減弱しており、投与6w後では飲水群でみられた線維化が減弱していることも明らかになった。腸管透過性の変化に伴う腸内細菌由来物質の血中移行について血清LPS濃度を定量したが、抗生物質投与による影響はみられなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大腸炎モデルと胆管炎モデルそれぞれにおいて病態の修飾によるデータを取得している。神経作動薬を用いてあらたな病態修飾のモデルの検討を開始している。
|
Strategy for Future Research Activity |
潰瘍性大腸炎モデルにおける自律神経刺激の影響を検討する。さらに自律神経刺激の受容体であるα7ニコチン作動性アセチルコリン受容体を欠失させたモデルを用いて、ニコチン受容体依存性のシグナルがこのモデルマウスの大腸、胆管炎の病理、腸内細菌叢、血中消化管ホルモン濃度の変化などに関連するか検討する。とくに樹状細胞におけるA7nAChRの役割と大腸上皮、胆管上皮におけるA7nAChRの役割を独立して検討できるモデルを構築する。 原発性硬化性胆管炎モデルでは大腸組織の経時的検討と腸内細菌叢の変化について抗生物質投与下で検討を行う。またこのモデルにおいても自律神経刺激やノックアウトなどの修飾を加え、病態、遺伝子発現、腸内細菌などの変化についてデータを蓄積する。
|
Causes of Carryover |
他の研究費用による動物モデルを流用できたため、一部動物実験や消耗品にかかる費用を共用できたために次年度使用に用いることができる。 次年度は網羅的な遺伝子解析などを予定しているため、物品費用がかさむことが予想されその補てんに用いる予定である。
|
Research Products
(3 results)