2018 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム・メタボローム・コホートによる肝障害発症経路の解明と個別的予防医療への応用
Project/Area Number |
18KT0074
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
原田 成 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 専任講師 (10738090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中杤 昌弘 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (10559983)
竹内 文乃 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80511196)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | メタボローム疫学 / ゲノム疫学 / 個別的予防医療 / 肝障害 / アルコール / 遺伝-環境交互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム研究の進展により、疾病の遺伝的要因の解明が進む一方、多因子疾患の発症要因は複雑で、遺伝-環境交互作用を含めたメカニズムの解明や、個別的発症予測モデルの構築は道半ばである。この進展のためには、前向きコホートでの遺伝・環境要因の収集に加え、体内の代謝動態を網羅的に測定するメタボローム解析を導入し、多因子の体内への複合影響を評価する手法が有用である。本研究では、3年毎に繰り返し血漿メタボロームが測定されている1000名の対象者のゲノム・メタボローム・データと生活習慣・ドック健診の3年間追跡データを用いて、アルコール性/非アルコール性肝障害の発症予測モデルを構築する。最新の手法である統合パスウェイ解析とメディエーション解析を応用して、遺伝・環境要因およびその交互作用と肝障害の因果関係を代謝メカニズムの観点から経路別に明らかにする。多因子疾患の発症を単に予測するのみならず、複雑に絡み合う因果関係の個々の経路を特定することを可能とする本研究は、特に体質や生活習慣に合わせた予防・早期介入が重要な肝障害の予防に役立てられるほか、さまざまな多因子疾患の病態解明のモデルとなり得る。 2018年度は、本研究で使用するメタボロミクス測定方法のひとつであるLC-MSのよる血漿メタボローム測定における測定精度の検証を行い、測定バッチを混合効果モデルによって補正することによりバッチによる変動効果を補正することで、信頼に足る測定値が得られることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度にLC-MSによるメタボローム測定を完了させる見込みであったが、メタボロームのパイロット測定を行ったところ測定結果の信頼性に疑義が生じ、再度LC-MSによるメタボロームの測定精度の検証を行った。 その結果、測定バッチを混合効果モデルによって補正することによりバッチによる変動効果を補正することで、信頼に足る測定値が得られることを確認した。2019年度は速やかにメタボローム測定を実施する。測定する検体はすでに選定済である。
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Strategy for Future Research Activity |
LC-MSメタボローム測定精度を、統計学的手法により十分高められることを確認したので、2019年度は速やかにメタボローム測定を実施する。測定する検体はすでに選定済である。 その後、統合パスウェイ解析、メディエーション解析などを実施して、肝機能低下の遺伝-環境交互作用を明らかにするとともに、機械学習による3年後の肝障害発症予測モデルを構築する。
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Causes of Carryover |
2018年度の費用はすべて2019年度のLC-MSメタボローム測定に振り分けることとした。2018年度はLC-MSメタボローム測定精度の検証を実施したため、2019年度にLC-MSメタボローム測定を委託する。 したがって、2018年度に予定していたメタボローム測定費用を2019年度に使用することとした。
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