2020 Fiscal Year Research-status Report
三世代のサマ・バジャウ移民家族を生活史の語り合いでつなぐー記憶の分有と想像力
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18KT0077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 和佳 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (90334218)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | フィリピン / サマ・ディラウト / 記憶の分有 / ナラティヴ / 生活史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、関連する研究実績はない。理由は下記による。 2020年度は予想できなかったCovid-19のため、計画を実施することが不可能となった。具体的には、海外渡航の不可能により、調査地および周辺地域を訪問できなくなった。協働している調査地の人びとは都市最貧困層であり、ITリタラシー以前に文字の読み書きをしない、WIFI環境が欠けている、そもそも日々の生活困難のためニーズを満たすための活動で精一杯であるなどの状況が生じた。そのため、早い段階(4月)に当該年度における通常のフィールドワーク調査を断念し、研究期間延長を考え、実際に研究期間を1年間繰延べた。 また、昨年出版した本科研費による成果の一部である英語単著についても予定されていた国内外のブックトークができなかった。Covid-19が落ち着いたときに、フィリピンの大学などで改めて報告機会をもらうつもりで、大学関係者とのつながりの維持に努めている。 なお、予定していたという意味での調査はできなかったが、本科研を通じて維持されてきた調査地とのつながりは生かされ、私費により生活支援・学習支援をする一方で、調査地住民からは住民リードによる「質問紙」調査(移動と生業)が非常にゆっくりとしたスピードかつほそぼそとではあるが実施され、いま進行中である。その意味では、公式に研究実績としてカウントされるべきものはなかったにせよ、研究活動は続けるつもりであり、前向きに取り組んでいるつもりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目末の段階で、英語単著を出したという点では進んでいたが、その成果を調査地をふくめたフィリピンの人びとに還元しながらそのプロセスについても記録をとっていくという最終年度はCovid-19のため、ほとんどなにもできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年4月時点で非常にまよっている。身体性を重視してきたこと、また事実として調査地にIT環境がないことから、Covid-19がおさまり、フィリピンに渡航可能になるまで、研究期間延長をするべきなのか。あるいは、非常に限られた厳しい状態のなかで、ほそぼそと調査地と、しかもWIFIにアクセスできるごく限られた人びとを通じて、本調査の肝である「ナラティヴ」をあつかっていくのか。現時点では、再延長が認められるかわからないが、上記のうち後者の方法を重んじて渡航可能になるまで待つつもりでいるほうに考えが傾いている。
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Causes of Carryover |
すでに述べたように、Covid-19により実質的に本研究関連の調査研究活動を休止、期間延長したためである。本年度もCovid-19の状況をみながら、研究の進め方を考えていく。調査地が特殊(極度に貧困で識字率も低くITにアクセスがない)な状況にあり、民族誌的調査を実施するためには基本的には調査者が現地に物理的に行くことが欠かせないといまも考えており、場合によっては(再延長が認められるという仮定のもとで)もう1年間の研究期間延長を申し出るつもりである。
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