2021 Fiscal Year Research-status Report
三世代のサマ・バジャウ移民家族を生活史の語り合いでつなぐー記憶の分有と想像力
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18KT0077
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 和佳 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (90334218)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2023-03-31
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Keywords | サマ・バジャウ / ミンダナオ / 生活史 / ダバオ市 / フィリピン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年につづき2021年もCovic-19のため、計画を実施することが不可能になった。 早い段階(4月)に当該年度における通常のフィールドワーク調査を断念し、研究期間延長を考え、実際に研究期間を1年間繰延べた。予定していたという意味での調査はできなかったが、本科研を通じて維持されてきた調査地とのつながりは生かされ、私費により生活支援・学習支援を続けている。その奨学生には、本科研の最終年度における本調査を念頭に、家族史作成のプロジェクトの準備をしてもらった。あわせて現地大学(Ateneo de Davao University)の複数の研究者と交流を重ね、現地の歴史や政治、少数民族の状況についての理解を深める努力をした。その報告として、3月には東京大学ヒューマニティーズセンターでオープンセミナーを日英バイリンガルで開催し、日本とフィリピンの研究者・一般の方がたの参加を得た。また、毎週1回1時間オンラインにて、ダバオ/ミンダナオ史の文献にとりくむ読書会を日本・アメリカを繋いで開催し、現在も継続している。 この間、調査地の歴史をより大きな歴史の文脈に位置付けるべく、アンソニー・リードのA History of Southeast Asiaの共訳に取り組み、名古屋大学出版会より上下巻の刊行に至った。ほかに、フィールドワークに関して雑誌『東洋文化』を責任編集し、東洋文化研究所より刊行した。 以上は、本研究の現地調査再開に向けての前向きな準備として位置づけられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外調査をコアとする本研究は、2020年度以降、Covid-19のためフィールドワークが不可能となり、2年間研究期間をくり述べてきたため。調査地の状況、調査者の状況からオンラインでの調査は不可能である。 ただし、2019年度までに一定の成果(英文単著1冊を含む)を出してきたことから、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度である。現時点ではまだ調査地に入ることは難しい。しかし、この2年間の延期中におけるさまざまな準備を踏まえて、現地で調査助手にファシリテーターを依頼し、ライフヒストリー作成のワークショップを行う予定である。参加者は、移民第三世代の高校生たちとする。高校生たちはその両親や祖父母に相談もしながらライフヒストリーを作成することになっており、本研究の趣旨(世代間の語り合い)に適合していると考える。
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Causes of Carryover |
2021年度においてCovid-19により研究活動ができず、研究繰越を申請したため。 2022年度は、つぎの2点で研究費を使用する予定である。1)調査助手をつうじた現地でのワークショップ関連の支出(オンラインでフォローアップする):謝金、2)調査地に入れる可能性がでた時点での現地フィールドワーク関連の支出:出張旅費。
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