2018 Fiscal Year Research-status Report
世界の「見え」の共有技法の研究:視覚障害者と晴眼者の相互行為分析
Project/Area Number |
18KT0080
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
秋谷 直矩 山口大学, 国際総合科学部, 講師 (10589998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 保輔 成城大学, 文芸学部, 教授 (10266207)
西澤 弘行 常磐大学, 人間科学部, 教授 (50296068)
佐藤 貴宣 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(PD) (50737070)
坂井田 瑠衣 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 特任研究員 (90815763)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | 視覚障害 / 歩行訓練 / エスノメソドロジー / 会話分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、視覚障害者と晴眼者の相互行為における「共在空間に対する間主観的同一性の成立の技法」の解明である。本年度は、(1)本科学研究費助成事業採択以前に収集したデータの整備、(2)関東チームによる実地調査、(3)分析トピックの抽出・発表、(4)既存の認知研究との比較のための準備、以上4点を行った。以下、各項目ついて概要を示す。 (1)本科学研究費採択以前より、視覚障害者の歩行訓練場面のビデオデータは収集していたが、資金不足により未整備のものがあった。本年度は、未整備データの統合を行った。なお、計画書では音声起稿も本年度中に完了する予定であったが、作業の遅れによりこちらは次年度へと持ち越しとなった。 (2)関東チームを中心に、視覚障害者の歩行訓練場面のビデオデータを新規に収集した。こちらは、2019年度前半にも2回ほど予定しており、その調整は完了している。 (3)視覚障害者と晴眼者である歩行訓練士間における言語を用いたインストラクションのデザインと理解を示す発話タイミングの関係について、人工知能学会、認知科学会、エスノメソドロジー・会話分析研究会にて計3回の学会発表を行った。そこでは、本研究課題での検討対象である「共在空間に対する間主観的同一性の成立の技法」のうち、視覚と触覚という異なる近く回路で得られた情報の共有技法を明らかにした。 (4)行動地理学・認知科学での、人の移動におけるメンタルマップの議論と本研究との比較検討を行うために、文献収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、学会発表を3回行うなど、採択初年度より研究の進展があった。当初は、採択初年度はフィールド調査、既存データ整理、文献調査を進める予定であったが、予定よりも早い段階で分析成果を公表することができた。この点において、当初の計画以上に進展があったが、一方で、本年度中に終了する予定であった既存データの整備(音声起稿)はやや遅れている。以上を踏まえて、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、以下3点について進める。 (1)採択初年度より作業進捗が遅れている「既存データの整備」について、2019年度中に完了させる。 (2)2019年度前半にフィールド調査(歩行訓練場面のビデオ撮影、インタビュー)を実施する。 (3)夏頃を目処に全体会議を実施し、データ分析を開始する。研究成果が出次第、学会発表を速報として行う。また、各学会や研究会でのフィードバックを踏まえ、2019年度後半より論文執筆を開始する。
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Causes of Carryover |
研究代表者のもとで実施予定であった、既存データの整備及び音声起稿に遅れが生じたことから、2018年度に実施予定であった音声起稿の業者発注ができなかった。それにより、次年度繰越分が発生した。こちらについては、2019年度分と2018年度繰越分を合わせて発注予定である。 また、本研究課題の成果公表先として適している2019年度開催予定の国際学会にエントリーし、セレクションを通過した。こちらは研究計画書段階では予定していなかったため、2018年度分の旅費を次年度に繰り越すことにより、2019年度請求分と合わせて国際学会発表のための渡航費用を賄うこととした。それによって次年度繰越分が生じた。
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Research Products
(5 results)