2021 Fiscal Year Annual Research Report
Plant preventive medicinal technique for controlling plant virus disease
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18KT0086
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
相内 大吾 帯広畜産大学, グローバルアグロメディシン研究センター, 助教 (50552783)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、カルシウム施肥の効果として、害虫の発生量を抑制することが明らかとなっているが、その抑制メカニズムや病原体の伝播抑制への寄与に関しては不明である。本研究課題では、ベクターの行動を制御することで病原体の伝播を抑制するというコンセプトを、カルシウム施肥による植物体の頑健化という生物現象に外挿する。昆虫行動学的なアプローチにより、ベクター行動制御におけるカルシウムの役割について理解を深め、予防医療的な手法・概念によりウイルス病から植物を保護する技術の創発へつなげることを目的とする。 これまで、カルシウム施肥を行うことで、カルシウム含量の高い植物体を作り出し、ベクターの行動制御ににのみ着目して研究を進めてきた。しかし、カルシウム施肥を行うことで、植物体中のその他の元素含量にも影響を与える可能性が考えられた。それらの元素の動態を把握することで初めて、カルシウム施肥がどのように植物体を頑健化するのかを総体的に理解することができる。そこで、植物中の主要元素である窒素、リン、カリウム、マグネシウム含量が、カルシウム施肥量の変化に伴ってどのように変化するかを調査した。その結果、培地中のカルシウム濃度を1.0、3.0、10.0 mMと変化させると、カリウムおよびマグネシウムの吸収量が有意に増加し、元素含量も変動する事が明らかとなった。加えて、培地中の窒素含量およびリン濃度を変化させた培地で生育した植物体のカルシウム含量についても測定したところ、高窒素植物では、カルシウム含量が低下し、高リン植物では、カルシウム含量が増加する事が明らかになった。以上の結果から、単独の元素含量の変化に伴って、他の元素も含有量が変動することを見出し、今後はこれらの複雑な相互関係を考慮した上で、植物の頑健化を論じる必要性があるものと考えられた。
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Research Products
(1 results)