2019 Fiscal Year Research-status Report
Rehabilitation of ecosystem and regional economy by enhanced utilization of "Sasayama" broad leaved forests degraded from appropriate treatments
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18KT0090
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 保志 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (20216451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 哲彦 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (40252499)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | 広葉樹林 / 里山林 / 高度利用 / 生態系機能の再生 / 地域経済の再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
広葉樹林収穫時に路網を開設し、適用可能となる集材システムにより間伐伐出を実施するための投資(基盤整備と作業システムの経費)の妥当性について、一般的な投資効果を判断する手法を提案した(論文: 鈴木・吉村 2019, 発表:Suzuki and Yoshimura 2019b)。この手法に基づき、旧薪炭林で現在は管理が放棄されている広葉樹林の調査から樹種と径級の分布を明らかにし、間伐伐出投資に対し伐出材からの収入が見合うかを検討し、肯定的な結果を得た(論文: Suzuki and Yoshimura 2019, 発表:Suzuki and Yoshimura 2019a)。これらの成果は、昨年度に見通しが得られ口頭発表したものを進展させたものである。 伐出のための作業システムについては、広葉樹二次林の調査プロットを高知大学演習林に設けて低インパクト伐出法により試験作業を行った(発表:鈴木ら 2019, 2020)。その後異なる伐倒方式で試験を継続しており、作業システムの有効性の検証と作業後の萌芽更新状況の継続調査を引き続き実施する予定である。また、ポータブルウィンチによる竹林伐出の有効性を検証した(発表:吉村ら 2020)。さらに、収穫の際の負の影響のひとつとして、架線系システムによる残存木損傷の経過調査から傾向を分析し影響の軽減策について検討した(論文: 竹嶋ら 2019, 発表:竹嶋ら 2019)。他の負の影響として作業道作設による隣接林分と植生への影響の調査を行った(発表:野口ら 2019)。森林管理のためのIT手法の適用について、安価なGNSS測量方法を提案しその効果を検証し(論文: Yoshimura and Suzuki 2019)、スマートフォンを用いた受講計測手法の精度を確認した(発表: 吉村ら 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
広葉樹林の資源量把握について、島根県で調査を実施し、高知県では固定プロットを作設し一連の伐出試験を実施できた。また、既往の研究成果から路網を開設しての数十年の経営期間にわたる収支の見込みについて投稿論文として成果を出すことができた。さらに、伐出作業の環境への影響として、集材被害木についての論文成果、および作業道開設について投稿論文にまとめることができる調査結果を得た。IT手法の適用についても、投稿論文1報の成果に加え、発表した成果と進展中の研究がある。以上から、今年度については当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
放置広葉樹林の資源量については、暖温帯の固定プロットを追加し、収穫作業の試験も含めて調査を継続実施する。さらに、GISデータを利用した広域の資源量把握や、UAVやGPS(GNSS)を活用した資源量把握の手法についても継続して実証的に研究を進めていく。伐出作業による負の影響については、路網開設の効果に加えて、残存林分の損傷の経過を調査し、また正の影響として萌芽更新の状況を固定プロットにおいて経年調査を継続する。なお、2019年度に実施した伐出試験作業において、掛かり木の発生など安全面での検討課題も発生したことから、経済性に加えて安全面での検討も行う予定である。
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Causes of Carryover |
旅費について、年度末の学会が新型コロナウィルス感染対策の関係で中止(発表業績としては要旨集の発行をもって認められた)となったため、次年度使用額が発生した。また、年度末に調査補助謝金を用いて実施する予定であった調査が、同様の理由で雇用はできず常勤職員のみで実施したことにより、調査関係の費用においても次年度使用額が発生した。これらについては2020年度に、必要な成果発表や調査を実施することで適切に使用する予定である。
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Research Products
(13 results)