2020 Fiscal Year Research-status Report
Rehabilitation of ecosystem and regional economy by enhanced utilization of "Sasayama" broad leaved forests degraded from appropriate treatments
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18KT0090
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 保志 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (20216451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 哲彦 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (40252499)
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Project Period (FY) |
2018-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | 広葉樹林 / 里山林 / 高度利用 / 生態系機能の再生 / 地域経済の再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
広葉樹林収穫時に路網を開設し、適用可能となる集材システムにより実際に伐出を行う調査を、広葉樹二次林の調査プロットを高知大学演習林に設けて実施した。昨年度に行った作業道の道脇に存する立木をグラップルで直接集材する低インパクト伐出法による方法のほか、今年度は林内作業車搭載ウインチとチェンソーを動力とするポータブルウィンチを用いて、作業道の上下10~20mの範囲に存する立木を伐出する方法とした(発表:鈴木ら2020, 土居ら2021, 鈴木ら2021)。プロットは本数ではヤブツバキが優先する広葉樹二次林で、収穫対象は材積で優勢するヤブツバキアカガシの大径木であり、ひとまとまりの株単位で対象木飲みを伐出する択伐方式とした。その結果、最も生産性が高く経費が少ないのは道脇の直接集材方式だが、ウインチを用いる道下と道上の方式は、道下の方が距離が遠いが両者とも同等の生産性となった。経費については直接集材以外の方式は雇用労働だと採算がとりにくいが自家労働の自伐方式ならば採算を取りうる範囲内であることが示された。一方、択伐方式では伐倒時にかかり木が発生するためグラップルやウインチを用いたかかり木処理が必要で、坪刈り等により生産性と安全性が高められる可能性が示唆された。また、収穫材の径と長さの分布から、材積割合で約30%が用材向き、約20%が薪炭材向き、約50%がバイオマス材向きと判断された。 あわせてポータブルウィンチによる竹材搬出(千原ら 2020)、生産性一般に関する考察(吉村ら 2020)、地形情報による適した伐出方法の選択手法について高知県全域を事例としてその有用性と妥当性を検討する研究 (山崎ら 2021)、早生樹種であるコウヨウザンの植林地の土砂移動抑制効果(渡辺ら 2021)に関する研究を行い、それぞれ口頭にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伐出プロットにおいて3種類の方式による作業を実施し、生産性と経費の相違および実作業への適用可能性について見通しを得ることができた。また、広葉樹林の資源量について、過去の調査結果および昨年度実施した島根県における調査に加え伐出プロットの毎木調査の結果も利用し、有用大径木の出現状況を把握し、搬出材の寸法分布から利用可能量についても見て押しを立てることができた。また、地形情報を用いて適した伐出システムを判定する手法を開発し、広葉樹林の伐出利用にも資する結果を得ることができた。さらに、広葉樹林の伐出利用についは、受理済みで2021年度中に発行予定の投稿論文1報の成果がある。以上から、今年度についてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
伐出試験の結果については、さらに考察を加えて口頭発表および論文として投稿する。伐出に軽架線を用いた場合の伐出方式および生産性と経費、また伐出システムに必要な作業道の開設による影響、得られた材の薪を主とする利用方法について、得られている成果を論文としてまとめて投稿する。さらに、広葉樹林の伐出作業後の残存林分被害や萌芽更新の状況についても継続調査を行い、「放置により劣化した里山広葉樹林の高度利用による生態系と地域経済の再生」のための施業方式案として提言可能な成果としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
旅費について、新型コロナウィルス感染対策の関係で対面の学会が中止でオンラインとなったり、県外への調査が実施できないなどの影響があったため、次年度使用額が発生した。これらについては2021年度に、必要な成果発表や調査を実施することで適切に使用する予定である。
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Research Products
(9 results)