2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19001002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷村 克己 Osaka University, 産業科学研究所, 教授 (00135328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 奎一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (90114595)
吉田 博 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (30133929)
金崎 順一 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (80204535)
石丸 学 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00264086)
楊 金峰 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (90362631)
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Keywords | 光誘起構造相転移 / フェムト秒時間分解分光 / 時間分解電子線回折 / 走査型トンネル顕微鏡 / 励起状態第一原理分子動力学 / 励起状態動力学 / RFフォトカソード / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光誘起構造相転移動力学の全貌を直接的な構造的知見に基づいて実験的に明らかにすると共に、高度な理論的考察を通じて、その機構を微視的・統一的理解を確立する事である。 本年度は、昨年度導入した大型装置の開発を精力的に進めるとともに、当初の目的達成のために十分な仕様まで性能を高めた新規導入装置類を駆使して、以下に述べる成果を達成した。 まず、昨年度に超短パルス化を達成したフェムト秒時間分解2光子光電子分光装置を駆使して、シリコン結晶中の光励起キャリヤーの超高速緩和過程を、運動量・エネルギー空間上で区分して実時間追跡し、inter-valley散乱過程、電子系の準熱平衡化過程、およびエネルギー緩和過程の全容を明らかにした。これらの成果は、Physical Review Letters誌を始め、国際学術誌に発表済みである。さらに、今まで全く未知の領域であった、価電子帯正孔の超高速緩和過程も世界に先駆けて検出に成功し、現在論文を作成中である。第二に、昨年度導入した温度可変走査型トンネル顕微鏡を用い、格子系の熱揺らぎと電子系の動的緩和の協力効果による光誘起構造変化過程におけるstochastic resonanceの現象を実証した。第三に、分担者間での有機的協力による理論・実験共同研究の成果として、グラファイトの光誘起相転移によってのみ発生する第三の炭素凝縮相"Daiaphite"を発見し、Physical Review Letters誌に発表した。 本研究の核心の一つであるフェムト秒時間分解電子線回折装置の開発も順調に進展しており、基本的な予備実験を終了して、本格的な実験的研究を展開できる段階にまで開発を進めた。今後、本計画の目的達成にむけて、全力をあげて、精力的な研究を推進する。
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