2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19001004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 陽一 Tohoku University, 電気通信研究所, 教授 (20143034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
行場 次朗 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (50142899)
櫻井 研三 東北学院大学, 教養学部, 教授 (40183818)
杉田 陽一 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究グループ長 (40221311)
岩谷 幸雄 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10250896)
田中 章浩 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教 (80396530)
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Keywords | マルチモーダル感覚情報 / マルチモーダル情報通信技術 / 時空間統合処理 / 臨場感・迫真性・自然性 / 3次元視聴覚ディスプレイ / 3W マーキング / 感性情報処理 |
Research Abstract |
本研究では,高度なマルチモーダル情報提示システムの実現のために,マルチモーダル情報の時空間統合処理過程の解明を目指している.本年度は,次の項目に関して検討を行った. (1)視覚と聴覚.150ms-200msという時間窓の中で物体の属性情報(色,輝度,形状情報)が時空間座標上で統合され,事象知覚が生成されることを明らかにした.この時間窓は視聴覚の情報統合が事象知覚に影響を及ぼす時間窓とほぼ同一であり,複数の脳内部位の時空間座標系を一つに統合するシステムが背後に存在することが示唆された.また,映像と音声の同期性判断に関する実験によって,視聴覚統合の時間窓が順応によって補正されるという新たな知見を得た.(2)聴覚と体性感覚.音の定位機構と頭部運動の関係を実験的に検証し,システムの運動感応遅れの検知限が約60msであることを明らかにした.また,検知限よりも大きな遅延を与えると,定位時間が増加することや頭部運動にオーバーシュートが生じることが明らかとなっている.これらの結果をもとに頭部運動による追加マーキング情報を定位判断モデルに反映させることで,音空間の知覚・認知過程と運動感覚との統合機構解明のための足がかりを得た.(3)視覚・聴覚・前庭感覚.聴覚情報の変化が自己運動感覚に及ぼす「聴覚随伴性運動残効」について検証し,音の周波数変化と運動の速度や加速度との関係によって自己運動感覚が変化することが分かった.これまで聴覚随伴性運動残効を実験的に実証した研究は皆無であり,先駆的な研究として高く評価されうると考える.また,クロスモーダルな色彩残効の存在を確認するため,色と運動方向を対応させた刺激を継続提示することで順応させ,静止した状態で順応刺激に対応するクロスモーダルな運動残効が生起することを確認した.
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