2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19002006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 薫 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (40182597)
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Keywords | 水素移動 / 強光子場 / 超高速化学 / 化学反応動力学 |
Research Abstract |
本年度は、超高速水素マイグレーション過程を実時間追跡するため、高強度搬送波位相制御高繰り返しフェムト秒レーザーシステムを導入した。最終出力で搬送波位相が制御できることを確認した。そして、3mJの出力を用いて、ホローファイバーパルス圧縮器を通すことにより、サブ10fs、2mJの出力を得ることに成功し、波長可変数サイクルパルスを発生させるために必要である光パラメトリック増幅器の製作および性能評価を完了した。さらに、既存のフェムト秒レーザーシステムを用い、アレンおよびメチルアセチレンについて、コインシデンス運動量画像計測を行い、強光子場中において水素原子が非常に高速に動くことを確認した。レーザーパルス波形整形装置の構築も完了し、アレンおよびメチルアセチレンにおける水素マイグレーション過程の最適制御実験を行った。また、光電場内電子散乱法を実現するための課題となっていた電子線強度の向上を目指して、光電陰極型超短パルス電子銃を新たに設計・製作した。製作した電子銃について電子線軌道シミュレーションを行った結果、従来の電子銃よりも輝度で約20倍、背景信号とのコントラスト比で約400倍の向上が見込まれ、光電場内電子散乱法の実現に十分な性能を持つことを示した。一方、メタノール等の多原子分子を多配置波動関数法で扱う場合に、水素原子核(プロトン)の運動を軌道関数によって、そして、重原子をCIベクトルによって記述する理論の枠組みを新たに提案した。その結果、二原子分子の電子ダイナミクスの計算のために使われてきた方法論が、プロトンの分子内運動を含めた分子ダイナミクスの計算に使うことが出来ることを示した。また、多原子分子を扱う際に必要となる「制限されたCI計算」のためのサブルーチンを構築し、その有効性をN_2分子の電子基底状態を計算することによって示した。
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Research Products
(39 results)