2010 Fiscal Year Annual Research Report
大脳認知記憶ダイナミクスの研究:大域ネットワークと局所神経回路の機能の解明
Project/Area Number |
19002010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮下 保司 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40114673)
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Keywords | 神経科学 / 記憶 / 大脳皮質 / 局所神経回路 / 領野間結合 / 磁気共鳴機能画像 |
Research Abstract |
(1)大脳認知機能マップに基づく単一神経細胞活動記録および局所神経回路の機能解析において顕著な成果があった。大脳の異なる層の間の情報のやり取りを、16点多点電極によるmulti-spike同時記録およびspike相互相関法によって解析した研究を、Science誌に発表した(Takeuchi et. al., Science 331, 1443-1447, 2011)。記憶の記銘時にはII/III層からV/VI層へと情報が流れるのに対し、記憶想起時には逆にV/VI層からII/III層へと情報が流れることを発見した。また、局所回路におけるニューロン間情報処理の解析法として、スパイク相互相関法に加えて新たにGranger Causality法を導入して時空間的変動に対する検出力を高めることが可能であることを示し、刺激提示後にGO-BACK-GOの3相性の信号のやり取りが起こることを発見した(Hirabayashi et al., J. Neurosci, 30, 10407-10421, 2010)。注意シフト課題では、頭頂葉7a野ニューロン群の活動がシフト実行時に次元に対して非対称的活動を起こすこと、このニューロン活動がその後におこる行動の成否を予測できることを発見した(Kamigaki et al., J. Cog. Neurosci. in press, 2011)。(2)大脳皮質の各層に存在するニューロンの位置を高解像度MRIによって決定するプロジェクトにおいても、エルジロイ電極を用いた鉄マーカーをMRIによって同定する方法の開発に成功した(Koyano et. al., J. Neurophysiol. 105, 1380-1392, 2011)。(3)ヒト大脳の機能構築を解析する研究も進捗した(Konishi et al. 2010. 2011 ; Watanabe et al., 2011)。(4)分子生物学方法の開発では、ラット小脳のトレーサーとしてVirus vectorの応用を報告した(Ohashi et al., 2011)。細胞種特異的プロモーターを使って遺伝学的手法を行動解析に応用する研究の成果も近日中に発表予定である。
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