2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19002012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂野 仁 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (90262154)
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Keywords | 神経地図 / 軸索投射 / シナプス形成 / 嗅神経細胞 / 匂い情報処理 / 軸索誘導分子 / セマフォリン / ニューロピリン |
Research Abstract |
高等動物においこて感覚情報は、脳の特定の場所に神経地図として二次元的に展開される。この神経地図は、これまで、軸索投射先に濃度勾配を示して分布する軸索ガイダンス分子と、軸索末端に発現する受容体の相互作用が重要な役割を果たすと考えられて来た。これは今から50年近く前にSperry博士によって提唱されたもので、主に視覚系の研究においてchemoaffinityモデルとして広く受け入れられて来た。高等動物の嗅覚系もまた、匂い情報を糸球の発火パターンとして、嗅球の糸球地図に二次元展開するが、当グループの研究によりこの神経地図のトポグラフィーが、少なくとも前後軸に関しては、軸索間相互作用によって決定されることを見出した。我々はまた、背腹軸に沿ったトポグラフィーは、発生過程の段階的軸索投射と背側から腹側へと拡張する嗅球を背景に、反発性の軸索誘導分子の相補的発現によって形成されることを見出した。ここで再び意外だったのは、通常ターゲットに発現する軸索誘導分子が、先着する軸索によって持ち込まれ、遅れて到達する軸索に対して反発性の誘導分子となっている事である。我々の発見は上記のSperryモデルを否定するものではないが、神経地図形成がこれ迄考えられていた以上に、軸索間で自律的に制御されている事を明確に示している。このターゲットに依存しない、軸索による自律的な神経地図形成は、嗅覚系に限られるものではなく、視覚系も含め他の神経システムにおいても一般的に機能している可能性が有る。
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Research Products
(10 results)