2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19002013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 近 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 治夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (40292726)
津田 岳夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (10345233)
近藤 洋平 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30436604)
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Keywords | イオンポンプ / 膜蛋白質 / 結晶解析 |
Research Abstract |
19年度には三つの課題で大きな進展があった。(a)は筋小胞体Ca^<2+>-ATPaseのE2P基底状態(Ca^<2+>非存在下の燐酸化状態)のアナログである、E2・BeF_x複合体の構造決定である。強力阻害剤thapsigargin(TG)存在下では2.4Å,非存在下では3.8Å分解能で構造を決定した。E2P基底状態でのみ、Ca^<2+>-ATPase内腔側のゲートが開くと考えられて来た。燐酸化部位付近の詳細な構造情報はTG有りの構造から、ゲートの開閉機構はTG無しの構造から理解できた。E1P→E2P基底状態とそれ以降とではAドメインの回転軸は異なっており、膜貫通ヘリックスM2の細胞質側の一部分がE2P→E2・Piの過程でほどけること、M1'のAドメインによる制御がゲートの開閉の本質であることが明らかになり、PNASに発表した。その後、TG無しの分解能を3.0Åまで向上させた。(b)Na^+K^+-ATPaseに関してはデンマークグループとの共同研究により2.6Å分解能の回折データの収集に成功した。Αサブユニットのモデリングは終了し、βサブユニットのモデリングを行っている。c重金属ポンプを代表するCopAに関し、PNドメインを大腸菌で発現させ、AWPPCP,ADPなどとの複合体の構造を1.85Å分解能で決定した。また、重金属ポンプで絶対的に保存され、Wilson病で変異が見られるH479Q複合体に関しても、高分解能で決定した。この結果、His残基のATP結合における役割が明らかになり、Glnに変異させた場合にはGlnの側鎖がHisのイミダゾール環を模倣する結果、ATPの結合が維持されることが判明した。また、Nドメインに見られるGlyはPループとは異なり、β燐酸の結合には関与しないこともわかった。
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