2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19002013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊島 近 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 教授 (70172210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 治夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (40292726)
津田 岳夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (10345233)
石北 央 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (00508111)
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Keywords | イオンポンプ / 膜蛋白質 / 結晶解析 |
Research Abstract |
本年度の成果のうち最大のものはNa^+, K^+-ATPaseの結晶構造解析である。これはE2・2K^+・Pi状態の類似体の構造であり、一昨年にデンマークグループにより報告されたものと同一の状態であるが、分解能を2.4Aまで向上できた。その結果、βサブユニットとFXYD蛋白質のモデリングにも初めて成功し、FXYDモチーフの構造的意味が明らかになった。また、ほとんど同じ残基が関与するにもかかわらず、Ca^<2+>-ATPaseではH^+しか対抗輸送できないのにNa^+, K^+-ATPaseでは一価の陽イオンなら何でもよいことの理由も明らかになり、βサブユニットの寄与が本質的であること、コレステロールが関与することも明らかになった。この結果はNature誌上に発表される。また、強心配糖体として有名なウアバインの結合部位を明らかにすることにも成功した。これまでの多くの予想に反して、ウアバインは膜内に深く挿入されており、膜貫通ヘリックスの一部分をほどくことも判明した。 Ca^<2+>-ATPaseに関しては、米国グループから提供された、阻害剤BHQの派生物との共結晶を作製し、結合時の構造を決定した。また、結晶中の脂質二重膜の可視化のための技術開発をほぼ完成させ、4つの状態に関し脂質二重膜の構造を得たところ、膜貫通ヘリックスの運動と共に脂質二重膜も運動することが判明した。即ち、脂質二重膜は決して平坦な静的なものでは無いことが示された。 さらに、植物液胞膜由来のH^+ポンプであるPPaseの結晶化に成功した。植物のエネルギー代謝には非常に重要なものであり全く新規の構造である。現在結晶性の改良を行っている。
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Research Products
(12 results)