2007 Fiscal Year Annual Research Report
スピンによる新奇な熱輸送-ハルデン系・ボーズ凝縮系・磁気的ゼーベック効果-
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19014002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 洋二 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野地 尚 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50180740)
足立 匡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40333843)
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50211850)
川股 隆行 東北大学, 独立行政法人理化学研究所・岩崎先端中間子研究室, 協力研究員 (00431601)
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Keywords | 熱伝導 / 1次元量子スピン系 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / トリプロン / 高温超伝導 / インターカレーション / 電気化学法 / 溶融塩 |
Research Abstract |
1.V^<4+>イオンのS=1/2スピンがボンド交替鎖を形成している1次元スピンダイマー系Pb_2V_3O_9では、低温・強磁場においてトリプロンがボーズ・アインシュタイン凝縮(BEC)状態に転移することが知られている。BEC状態では熱伝導が大きく増大する可能性があるので、このPb_2V_3O_9の大型単結晶を育成し、熱伝導を測定した。これまで、Pb_2V_3O_9の大型単結晶の育成例はなかったが、フローティング・ゾーン法によって育成を試み、5mm×5mm×10mm程度の単一ドメインをもった単結晶を育成することに成功した。劈開面に平行で、かつ1次元スピン鎖に対して20°の角をなす[-705]方向の熱伝導を測定した結果、低温(3K-6K)・強磁場(7T-14T)のBEC転移に伴って熱伝導の増加傾向が観測された。TlCuCl_3の場合ほど増加は顕著ではないが、熱伝導の測定方向がスピン相関の強いスピン鎖に平行ではなかったためかもしれない。しかし、トリプロンのBEC状態において熱伝導が増加することは普遍的な現象であると思われる。その起源を明らかにすることが今後の課題である。 2.電気化学的な方法により、Aurivillius型の層状ペロブスカイトBi_2MO_6(M=Mo, W),Bi_2W_2O_9,Bi_2BaNb_2O_9,Bi_2SrNaNb_3O_<12>,Bi_4Ti_3O_<12>へのLiインターカレーションに成功した。しかし、超伝導転移は観測できなかった。これら母結晶は強誘電体であり、格子歪のためドープされた電子キャリアは局在しているためと思われる。 3.KOH溶融塩を用いることにより、超伝導体Ba_<1-x>K_xBio_3(x=0.4)を260℃という低温で、わずか1分の加熱で合成できることは既に報告していたが、今回、加えるH_2Oを変化させることにより0.30≦x≦0.50の試料を得ることに成功した。
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Research Products
(24 results)