2008 Fiscal Year Annual Research Report
スピンによる新奇な熱輸送-ハルデン系・ボーズ凝縮系・磁気的ゼーベック効果-
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19014002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 洋二 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野地 尚 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50180740)
足立 匡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40333843)
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50211850)
川股 隆行 東北大学, 独立行政法人理化学研究所・岩崎先端中間子研究室, 協力研究員 (00431601)
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Keywords | 熱伝導 / 1次元量子スピン系 / ボーズ・アインシュタイン凝縮 / トリプロン / 超伝導 / 水素化物 / 溶融塩 / ビスマス酸化物 |
Research Abstract |
1. S=1/2の1次元反強磁性スピン鎖を2重にもつSrCuO_2においては、スピンによる大きな熱伝導が観測されているが、スピンによる弾道的な熱輸送がこの物質における大きな熱伝導の起源であると考え、スピン欠陥の低減による熱伝導のさらなる向上をめざした。単結晶試料の原料の純度を上げ、さらに、作製した試料に酸素アニールを施すことにより、スピン欠陥の低減を図った。その結果、スピンによる熱伝導としては世界最高の値800W/Kmを得ることに成功した。 2. S=1/2の1次元反強磁性スピン系物質Sr_2V_3O_9においては、スピン鎖の方向が[101]方向か[10-1]方向か分かっていない。そこで、大型単結晶をFZ法で育成し、いくつかの方向で熱伝導率を測定した。その結果、Sr_2V_3O_9にもスピンによる熱伝導の寄与があり、[10-1]方向にスピン鎖が形成されていることを明らかにした。 3. S=1/2の1次元ボンド交替スピン鎖を持つPb_2V_3O_9では、低温強磁場においてトリプロンがボース・アインシュタイン凝縮(BEC)状態に転移する。熱伝導率を測定したところ、BEC転移により、スピン鎖方向の熱伝導率が著しく増加し、スピン鎖に垂直な方向の増加はわずかであることが分かった。トリプロンのBEC状態において熱伝導率が増加することは普遍的な現象であり、BEC状態において凝縮していないトリプロンが熱伝導に大きく寄与していると結論した。 4. 高周波溶解して得たCaPdを室温で20気圧の水素圧下に1日保っことにより、ペロブスカイト型水素化物CaPdH_<3-δ>(δ〜0.7)の作製に成功した。超伝導転移は観測できなかったが、その原因として、電子格子結合定数が小さいごとや水素欠損が考えられる。 5. RbOHの溶融塩を用いることにより、T_c〜30Kの超伝導体Ba_<1-x>Rb_xBiO_3(0.25≦x≦0.4)を得ることに成功した。
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Research Products
(37 results)