2007 Fiscal Year Annual Research Report
10ギガパスカル級高圧NMR法を用いた圧力誘起量子物性の探究
Project/Area Number |
19014007
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 正行 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (90176363)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 直 独立行政法人産業技術総合研究所, 強相関電子技術研究センター, 研究員 (60292760)
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Keywords | 高圧 / NMR / 遷移金属酸化物 / 圧力誘起量子物性 / 超伝導 |
Research Abstract |
強相関電子系の物性研究において、圧力は重要な外部パラメーターである。物性発現機構の解明に有効な手段である高圧下NMR実験は、従来、主にピストンシリンダー型の圧力セルを用いて行われて来たが、その圧力限界は約3.5GPaであった。本研究では、この圧力限界をはるかに超す改良型ブリッジマンアンビルセルを用いた10GPa級の超高圧下NMR実験技術を確立し、さらに、遷移金属酸化物における新奇な高圧物性の探究を行うことを目的とした研究を進めた。本年度は、これまでに開発したブリッジマンアンビル高圧セルを用いて、擬一次元導体β-Na_<0.33>V_2O_5の高圧下NMR実験を行った。この系はバナジウム酸化物として初めて超伝導が発見され、その発現機構に興味が持たれている。この系の物性を理解する上では、圧力温度相図を決定し、各相の磁気的、電子的性質を明らかにすることが重要である。単結晶試料を用いたNMRスペクトルと核スピン・スピン格子緩和率の測定から、約2GPaまでは、反強磁性転移温度は緩やかに上昇し、その後、圧力を加えるとともに減少することを見出した。さらに、この反強磁性相は約7GPaまで存在し、超伝導相と隣接していることが初めて明らかになった。また、Naの秩序無秩序転移は、圧力とともに緩やかに減少し、9GPaまで存在することを見出した。このNaの秩序無秩序転移に伴ってどのようなNa原子の運動によるのかを理解するために、常圧下のNa核の核スピン・格子緩和率の測定から、最近接Naサイト間のホッピング運動が重要であることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)