2007 Fiscal Year Annual Research Report
多層型高温超伝導体における反強磁性と超伝導の共存現象の解明
Project/Area Number |
19014011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
椋田 秀和 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (90323633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊豫 彰 産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 超伝導材料グループ長 (50356523)
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Keywords | 高温超伝導 / 銅酸化物 / 反強磁性 / 多層型構造 / 相図 |
Research Abstract |
最もCuO_2面の平坦性のよいHg-1245(組成式:HgBa_2Ca_4CU_5O_y)を中心に五層型銅酸化物で、反強磁性と超伝導特性を調べてきた。これと同じHg-1245の組成で、還元アニールという方法で酸素の量を制御し、ホールキャリヤ濃度をコントロールした試料数種類についてMR測定を行った。新しく合成した試料では、110Kで超伝導を示す高温超伝導物質であるが、低温においてホールの少ない内部の層において、55K以下で静的な反強磁性秩序を示していることがわかった。ホールキャリヤ濃度の異なる試料で、その系統的な実験から電子相図を確定し、平坦性の非常に優れたCuO_2面の示す物性を多層型超伝導体から明らかにした。そこでは、これまで信じられてきた高温超伝導の相図と異なり、16%のキャリア濃度まで反強磁性金属が安定し、さらに、その状態は、超伝導と共存するという驚くべき結果を得た。同じ多層型構造をもち、頂点をフッ素に置き換えた系も、さらに磁性と超伝導が共存していることが分かってきた。今後も、Hg系、F系など多層型超伝導で起こる物性の共通性、相違点を明らかにしていきながら、高温超伝導の普遍的性質を明らかにしていきたい。
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