2007 Fiscal Year Annual Research Report
キャリア・ドープしたスピンチューブにおけるカイラリティ誘起超伝導の理論的研究
Project/Area Number |
19014019
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
坂井 徹 Japan Atomic Energy Agency, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60235116)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 清美 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (40152342)
大塚 雄一 日本原子力研究開発機構, 協力研究員 (30390652)
|
Keywords | スピンチューブ / キャリア・ドープ / 超伝導 / カイラリティ / スピンギャップ |
Research Abstract |
N本の反強磁性量子スピン鎖を鎖間方向にも反強磁性交換相互作用で結合した系をスピンラダーと呼ぶが、これをさらに鎖間方向に周期的につないだ系をスピンチューブと呼ぶ。そのうち最も量子効果とフラストレーションの強い3本鎖スピンチューブに焦点を絞り、キャリア・ドープした場合に超伝導を引き起こす起源となるスピンギャップについて、理論的・数値的に研究した。 3本鎖スピンチューブは、断面が正三角形のとき大きなスピンギャップを持つことが知られているが、このギャップが断面を二等辺三角形に変形したときにどのように変化するかを調べるため、ハイゼンベルグ模型の数値的厳密対角化と密度行列繰り込み群法により数値的に解析したところ、このような変形に対して非常に急激にギャップが消失する量子相転移が起きることが判明した。この量子相転移のメカニズムを理論的に明らかにするため、ハバードモデルに基づく有効理論を構築し、フェルミ面を横切るバンドが偶数本か奇数本かで、スピンギャップ形成・消失が区別することにより、この量子相転移の定性的な理論相図を得ることができた。この理論相図は、数値的厳密対角化と共型場理論による数値的な解析からも指示され、スピンギャップが消失する量子相転移はコスタリッツ・サウレス転移であることもわかった。今後は、このハバードモデルによる解析をすすめ、キャリア・ドープした場合の超伝導の可能性とそのメカニズム解明へと焦点を移していく。
|
Research Products
(16 results)