2008 Fiscal Year Annual Research Report
星周塵候補鉱物における形状および結晶方位の異方性を伴った結晶化過程の解明
Project/Area Number |
19015006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
茅原 弘毅 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特任研究員 (70379296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 千代枝 大阪大学, 大学院・理学研究科, 招へい研究員 (20097835)
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Keywords | 赤外線天文学 / 赤外線分光法 / 星周塵 / シリケイト / アモルファス / 結晶 |
Research Abstract |
天体周囲の領域に存在する固体微粒子(宇宙塵)の光学特性を明らかにすることにより、宇宙塵そのものの形成・進化過程や、天体周囲の物理化学環境を推定することが可能となる。そのために宇宙塵候補物質の赤外線分光測定を行った。宇宙塵の主な構成鉱物として、結晶質や非晶質の珪酸塩が考えられている。これらのうち、結晶質成分は非晶質物質が星周での何らかの加熱機構を経て形成されたとされている。これを実験室で模擬するため、はじめに、ゾルゲル法を用いて輝石組成の非晶質珪酸塩を作成した。これを段階的に加熱することで結晶化を促し、分光測定を行うことによって、結晶化に伴う赤外線吸収スペクトルの変化の様子を明らかにした。また、これらの結果を解析し、結晶化に必要な活性化エネルギーやタイムスケールを評価した。更に、この方法で結晶化させた輝石試料のスペクトルは、先行研究において単結晶を用いて取得されたスペクトルとは異なる特徴を持つことが明らかとなり、過去に行われた天体観測結果と比較すると、これまで未同定とされていた多くのスペクトルフィーチャーを一度に矛盾無く説明することが可能であることがわかった。このことから、星周領域の輝石は何らかの理由により理想的な結晶構造を持っていないということが示唆される。輝石の構造に関するこの描像は、過去のいくつかの惑星間塵中の輝石の構造解析とも整合性があり、今後、星周での輝石の形成過程を解明する鍵になると考えられる。 次に、プラズマ中で材料物質を融解、急冷させ、球状のカンラン石組成の非晶質物質を作成した。それらを加熱し焼結させた試料を用いて分光測定を行い、凝集や粒子形状によるスペクトルの変化を系統的に明らかにした。星周構造として円盤を持つものとシェル構造を持つものとでは、観測的にスペクトルの形が異なることが知られているが、本研究による実験結果を用いると、この違いを凝集の効果として解釈することが可能であることが解った。
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Research Products
(11 results)