2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノドメインエンジニアリングによる環境調和型巨大圧電アクチュエータの開発
Project/Area Number |
19016011
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
和田 智志 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (60240545)
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Keywords | 配向セラミックス / 圧電定数 / エンジニアード・ドメイン構造 / ドメインサイズ / 振動子 / ドメイン壁 / TGG法 / テンプレート粒子 |
Research Abstract |
本年度は、キュリー温度の高い新規非鉛系圧電材料の探索と、昨年度報告したチタン酸バリウム(BT)配向セラミックスの圧電定数の更なる向上について、研究開発を行った。その結果、まず、BTとニオブ酸カリウム(KN)の固溶体セラミックスについての研究からは、BT-KN系相図を新たに作製し、その結果、BTとKNが1:1の組成比において、正方晶構造と斜方晶構造からなる2相共存領域を初めて確認した。なお、この領域のキュリー温度は430℃と非常に高いことも明らかとなった。この組成での圧電定数は約20pC/Nと低いものの、2相界面の面積を出発原料にナノ粒子を用いることで制御した結果、2相界面面積の増加とともに圧電定数は単調に増加し、もとの5倍以上にまで増大することがわかった。今後さらなる増大が予測される。また、従来のBTセラミックスにマグネシウム酸チタン酸ビスマス(キュリー温度 : 700℃以上、BMT)を固溶したBT-BMT系セラミックスを初めて常圧で合成することに成功し、その結果、BTセラミックスのキュリー温度130℃を360℃まで増大できることを明らかにした。この結果、これまでの非鉛系圧電材料に2種類の新規圧電材料を加えることに成功した。最後に、BT配向セラミックスをTGG法で作製し、焼結条件に加え、テンプレート粒子/マトリックス粒子比、Ba/Ti比などをパラメータとし、グレインサイズ、配向度、密度の3つの微構造パラメータの圧電定数依存性を検討した結果、グレインサイズが小さく、配向度および密度が高いほど圧電定数が高くなることを明らかにした。最終的には圧電定数が1000pC/Nを超える圧電材料の作製に成功した。
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