2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19016016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 康弘 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (40206404)
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Keywords | アクチュエータ / 走査型プロプブ顕微鏡 / 圧電体 / 制御工学 / Q 値制御 / 共振現象 / 逆伝達関数補償 / フィードバック |
Research Abstract |
溶液中で機能している生体分子の時々刻々と変化する微細動態をビデオレートで撮像できる原子間力顕微鏡(AFM)の開発が求められている。原子間力顕微鏡の撮像レートを大幅に向上させるためには、機械的要素であるスキャナーの性能向上が最も重要な課題である。スキャナーの構成要素として圧電体が用いられているが、圧電体自身の共振により、圧電体の応答速度が大幅に低下するため、これまで十分な性能を有する高速スキャナーは開発されていない。本研究の目的は、『ビデオレートで撮像できるプローブ顕微鏡用高速スキャナーを開発すること』である。具体的には、以下の3つの課題について検討した。 1)特性評価のためのプローブ顕微鏡用高速スキャナーの試作 設計済みの高速スキャナーを実際に試作した。このスキャナーに対して、スキャナーの構造自体に起因する共振と圧電体自身が持つ共振がどのように現れるかを評価した。 2)アクティブダンピング法(Q値制御法)による共振の除去の実現 圧電素子に接続した電流/電圧(1/V)変換器を用いることにより、スキャナーの減衰定数を電気的に大きく見せかけ、スキャナーの共振を除去できることを明らかにした。 3)逆伝達関数補償法による高速応答的の実現 高周波帯域においては、変位の位相が遅れることが予想される。位相の遅れを軽減するために、スキャナーの伝達関数と逆特性の伝達関数を有する回路を駆動回路に導入し、高速応答を実現した。 4)変位フィードバック法によるヒステリシス除去の実現 電流/電圧(1/V)変換器の後に積分器を接続することにより、圧電素子の変位を測定することができる。この変位をフィードバックすることにより、スキャナーの印加電圧と変位との間のヒステリシスを除去し、高精度な位置決め精度を実現した。
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