2007 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物プロトニクスにおけるヘテロ界面伝導の解明とその高速プロトン移動への応用
Project/Area Number |
19017014
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 広重 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (70283413)
|
Keywords | ナノイオニクス / へテロ界面 / プロトン導電体 / 整流性 / ショットキー障壁 / 非化学量論 / 空乏層 / ストロンチウムジルコネート |
Research Abstract |
H17-18の本特定領域公募研究において、白金を高分散したプロトン伝導性酸化物の導電率が白金の体積分率に対して不連続に低下することを見出し、この現象が白金との界面においてプロトン伝導体相に高抵抗層が形成されることを仮定したパーコレーションモデルから説明できることを提案した。このようなプロトン伝導体のナノイオニクス現象を調べるために、ストロンチウムジルコネート系プロトン伝導体と白金の界面に注目して検討を行った。 0〜5vo1%の白金を含むSrZr0.9Y0.103-αの焼結体を調製した。白金を微分散化するために、硝酸塩もしくは塩化物を原料とした燃焼合成法により原料粉を調製し、これを通常の固相焼結(空気中、1650℃)によって焼成することにより焼結体試料を得た。導電率測定は直流4端子法にて行った。また、XAFSおよびTEM測定により白金の状態を解析した。 上記コンポジットの調製において白金源をこれまでの塩化物から白金錯体に変更し、また、焼成温度を吟味したところ、1350℃以下で焼成することにより青いペロブスカイトを得た。それ以上の温度での焼成によっては黒色化した。この青いサンプル中では、白金が固溶していると考えている。 1350℃で焼成した青いサンプルを用い、1000℃において、雰囲気を酸素→Ar→水素→Ar→水素の順に変化させながら導電率を測定したところ、酸化雰囲気では導電率が高く青色であるのに対して、水素中では導電率が降下し、色が黒変した。XAFS測定によれば、青色試料では白金は酸化状態にあり、黒色試料では白金は金属的である。また、黒色試料中には1〜3nmの白金微粒子が均一に分散しているのが観察された。 以上より、この一連の現象は、白金との界面に生じたプロトン伝導体の欠陥平衡の変化を観測したもので、白金の酸化還元に伴う可逆なナノイオニクス現象を捉えたものと考えられる。
|