2007 Fiscal Year Annual Research Report
超高速不可逆光誘起現象の可視化技術の創出と励起状態を介した物性・物質制御
Project/Area Number |
19019006
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
武田 淳 Yokohama National University, 大学院・工学系研究院, 教授 (60202165)
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Keywords | 可視化 / イメージング / デンドリマー / 光誘起磁気相転移 / 2光子吸収 / 有機ラジカル / フェムト秒 |
Research Abstract |
物質の機能や構造を予言する高度なシミュレーション技術の開発や光励起プロセスを介した物性・物質の制御の研究の進展には、理論の構築や物質探索に加えて、超短時間(フェムト秒〜ピコ秒)で時々刻々と変化する物質の構造や機能を実時間で瞬時に可視化する手立てを構築することが必要不可欠である。本研究では、1ショットで超高速不可逆光誘起現象の時間・スペクトル特性がマッピングできる究極の「可視化技術」の創出を目指す。また、1)光捕集性ナノスターデンドリマー、2)強相関有機ラジカルTTTA結晶にこの可視化技術を適用し、超高速エネルギー伝達や光誘起反磁性・常磁性相転移の動的過程を明らかにする。 本年度は、レーザーとポンプ光及び検出器のシャッターの同期、回転試料セルの導入により、熱や光劣化を可能な限り抑えた実時間イメージング分光手法を構築した。1)においては、この分光手法を用いて、側鎖のペリフェリからコアのフタロシアニンへのエネルギー移動が0.3〜0.6ピコ秒で生じること、この移動時間が側鎖のねじれ振動の振動緩和を反映していることを見いだした。また、立体障害により分子構造が平面構造をとれなくなるとエネルギー移動の効率が悪くなることを実験およびシミレーションから示した。2)においては、2光子吸収過程を用いることにより、巨大な光応答性を持って強相関有機ラジカル結晶の反磁性・常磁性光誘起磁気相転移を発現させることに成功した。また、反磁性相の自己束縛励起子発光強度の励起密度依存性から光誘起相転移の閾値特性を評価し、局所的な格子歪みを伴う自己束縛励起子状態がマクロな光誘起相転移の初期過程として重要であることを見いだした。
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Research Products
(16 results)