2007 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケールシミュレーション法の開発とカーボン系ナノ材料への適用
Project/Area Number |
19019011
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
星野 公三 Hiroshima University, 大学院・総合科学研究科, 教授 (30134951)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙田 康浩 山口大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (50324067)
下條 冬樹 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (60253027)
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Keywords | 分子動力学シミュレーション / 第一原理・古典ハイブリッド法 / ナノ構造化グラファイト / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
本年度は、以下のような研究を実施し、多くの新しい知見を得た。 (1)新しいマルチスケールシミュレこション法の開発 分子動力学法(MD)による原子モデルと有限要素法(FEM)で表された連続体モデルを接続する新しいMD/FEMハイブリッド手法を開発した。このハイブリッド手法の有効性を確認するため,アルゴン粒子系と1次元バネから構成される一次元ハイブリッドモデルに適用し、(i)新手法では連続体と粒子系のダイナミクスを同時に記述でき、その両者の相互作用を明確に表現することができる、(ii)小規模な粒子系を含むハイブリッドモデルの計算だけで、大規模粒子系の計算に相当する結果を得ることできることなどを示した。 (2)水素吸蔵ナノ構造化グラファイトからの水素脱離の微視的機構 第一原理・古典ハイブリッドMDシミュレーションにより、ナノ構造化グラファイトからの水素脱離過程を詳細に調べ、ナノ構造化グラファイトの再結晶化が水素分子形成・脱離のきっかけとなることを示した (3)カーボンナノチューブの融点の半径依存性 単層カーボンナノチューブの熱的不安定性('融解'と呼ぶ)をチューブの半径の関数として古典分子動力学シミュレーションにより環境依存型相互作用ポテンシャルを用いて調べ、カーボンナノチューブの融点が半径の減少とともに1/(半径)^2で減少することをはじめて明らかにした。この融点の半径依存性の起源は、チューブ半径の減少にともない、sp^2結合がひずんで結合が弱くなるため、ひずみエネルギーが1/(半径)^2で増加し、相対的にエネルギー的に不安定になるためであることを解明した。
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Research Products
(11 results)