2007 Fiscal Year Annual Research Report
ホウ素アニオン等価体の触媒的発生法の開発と有機合成への応用
Project/Area Number |
19020002
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤村 正也 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (40202105)
|
Keywords | 銅触媒 / ホウ素アニオン / アリルホウ素 / ジボロン / 光学活性ホスフィン / シクロプロパン / アリル位置換反応 / 不斉合成 |
Research Abstract |
光学活性アリルホウ素化合物は、カルボニル化合物を穏やかな条件で選択的にアリル化し、光学活性ホモアリルアルコールを与える有用な反応剤である。しかし、既存の合成法ではキラル補助基が化学量論量以上必要である上、多段階を要する。また複雑な骨格を持ったものや官能基化したものへの適用が困難である。これらの問題を解決できる汎用性の高い触媒的不斉合成法の開発が望まれる。 我々がすでに開発しているCu(I)-Xantphos触媒によるアリルホウ素生成反応は、入手容易なアリルアルコール誘導体を位置および立体選択的にアリルホウ素化合物に直接変換できる唯一の反応である。本研究では、光学活性配位子を適用してこの反応を不斉触媒化することを検討し、Z配置のアリル炭酸エステルの反応に、不斉配位子としてQuinoxP^*を用いることにより、96%eeという実用的レベルの高選択性を達成できた。 Xantphos-銅(I)触媒によるアリルホウ素の合成法を研究する中で、脱離基γ位の置換基がシリル基の場合、Cu-Bのアルケンへの付加の位置選択性が逆転し、その結果としてtrans-1シリル-2-ボリルシクロプロパンが生成することを見出した。アリル炭酸エステルのアルケン部位の立体配置が、反応性、付加の位置選択性、立体選択性のいずれにも大きな影響を及ぼし、いずれもZ体の方が優れている。ホスフィン配位子としてXantphosの代わりにSEGPHOSやQuinoxP^*を用いると、反応速度が少し低下したが、高い光学純度のtrans-1-シリル-2-ボリルシクロプロパンが高収率で得られた。
|
Research Products
(11 results)