2007 Fiscal Year Annual Research Report
ジメチルスルホキシドの特性を活かした無触媒反応の開発
Project/Area Number |
19020009
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
折山 剛 Ibaraki University, 理学部, 教授 (90185687)
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Keywords | ジメチルスルホキシド / 無触媒反応 / ヘンリー反応 / 活性メチレン化合物 / 1,4-付加反応 |
Research Abstract |
これまでの有機合成化学においては、収率の向上や反応の効率性を目的として、種々のルイス酸触媒、あるいはルイス塩基触媒を用いた反応の開発が活発になされてきた。これに対して、既知の反応で触媒を用いることが常識とされてきた有用かつ基幹的反応を、ジメチルスルホキシド(DMSO)の特性を活かして触媒を全く用いずに「無触媒」で進行させることを目的として本研究を行つた。 ヘンリー反芯は、カルボニル化合物とニトロアルカンからβ-ニトロアルコールを合成する反応であり、有機合成化学において古くから知られている重要な炭素一炭素結合生成反応の一つである。これまでに、ルイス塩基やルイス酸などを触媒として用いるへンリー反応が数多く報告されている。そこで、DMSO溶媒中、MS 4A存在下、カルボニル化合物に対してニトロメタンを反応させたところ、対応するβ-ニトロアルコールが収率よく得られることを明らかにした。ニトロメタン以外に、ニトロエタン、2-ニトロプロパンを用いても同様な反応が進行した。さらに、DMSO溶媒中、α,β-不飽和カルボニル化合物に対してニトロアルカンを反応させたところ、1,4-付加反応が進行して、対応するγ-ニトロカルボニル化合物が収率よく得られることも見出した。次に、ニトロメタンがカルボニル化合物への求核剤となるならば、他の活性メチレン化合物の付加反応無触媒で進行するのではないかと考えた。α,β-不飽和ケトンとしてカルコンを、活性メチレン化合物としてマロノニトリルをモデル化合物として選び、反応を試みた。DMSO溶媒中、モレキュラーシーブス(MS)4A の存在下、カルコンに対してマロノニトリルを室温で反応させたところ、対応する1,4-付加生成物が得られ、塩基などの触媒を積極的に用いることなくMichael付加反応が進行することを見出した。
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Research Products
(3 results)