2008 Fiscal Year Annual Research Report
複核キラル反応場の精密化・力量化による高効率的分子変換法の開発
Project/Area Number |
19020019
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宇梶 裕 Kanazawa University, 物質化学系, 教授 (80193853)
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Keywords | 複核キラル反応場 / 酒石酸エステル / 亜鉛アセチリド / 不斉求核付加反応 / ニトロン / 4-イソオキサゾリン / 不斉1, 3-双極子付加環化反応 / アゾメチンイミン |
Research Abstract |
両鏡像体ともに入手容易な酒石酸エステルを活用した複核キラル反応場設計の精密化を図り, 特に実用可能化および力量化を念頭に置き, 高効率的分子変換法の開拓を試みた。 求核剤として亜鉛アセチリドを用いるニトロンへの触媒的な不斉求核付加反応において対応する光学活性N-(プロパルギル)ヒドロキシルアミンが得られることを見出しているが, 付加中間体を加水分解すること無く昇温すると, 環化反応が徐々に進行することがわかった。そこで, 反応を加速させるための添加剤について検討したところ, ジメチル亜鉛を添加すると環化反応が促進され, 対応する光学活性4-イソオキサゾリンが得られることを見出した。さらに, 環化中間体をホルムアルデヒドと反応させることにより, 新たな炭素-炭素結合生成を行なうことができ, 光学活性4置換4-イソオキサゾリンのウンポット合成を実現した。 アゾメチンイミンのアリルアルコールへの不斉1, 3-双極子付加環化反応について検討したところ, 金属として亜鉛ではなくマグネシウムを用いることにより, 対応する光学活性ピラゾリジンを得ることを見出していたが, 脂肪族のアゾメチンイミンの場合には化学収率, 光学収率ともに満足できるものではなかった。反応条件について検討を重ねたところ, Schlenk平衡により臭化マグネシウムが1当量生成する条件で反応を行なったところ, 化学収率, 光学収率ともに向上し, 最高96%eeで対応するtrans体の光学活性ピラゾリジンを得ることに成功した。
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